カズハのダンスには、振り付けを覚えただけでは決して到達できない優雅さがある。これは、K-POP以外の舞踊を本格的に極めた者だけが持つ質感だろう、と筆者はみている。

 先述のBTSジミンに加え、2NE1のコン・ミンジ、MBLAQ出身のイ・ジュン、そしてEXOのカイなど、彼らのダンスに宿る独特の優美さと色気。同じものがカズハのダンスに感じられる。彼女がバレエに費やした15年は、決して無駄ではなかったことを雄弁に物語っている。

宮脇咲良という存在

 LE SSERAFIMのデビューが報じられたとき、少なくとも日本では「宮脇咲良(サクラ)の新しいグループ」という認識が先行していた。HKT48、そしてIZ*ONEを経て、すでに日韓で高い知名度を持っていたサクラの存在感は圧倒的だった。

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 その陰で、もう一人の日本人メンバーであるカズハは、下手をすれば「宮脇咲良じゃないほうの日本人メンバー」という位置に甘んじかねない危うさを抱えていた。

サクラ(宮脇咲良) ©時事通信社

 しかし、蓋を開けてみればデビューから現在に至るまで、カズハはサクラとは別の魅力を放つ人気メンバーへと成長した。

 サクラが「動」なら、カズハは「静」。アイドルになるべくしてなった、いわば「プロアイドル道・師範クラス」のサクラと、まったく異なる伝統舞踊の世界で15年間、鍛錬してきたカズハ。真逆のような2人だからこそ、お互いの良さを引き出し合える、ベストコンビと言えるだろう。

サクラとカズハ。年齢差は5歳差(LE SSERAFIMのXより)

関西育ちの茶目っ気も

 彼女が育った大阪での公演では、ユーモアあふれる親しみやすい一面がのぞく。「関西電気保安協会」や「ホテルニューアワジ」のCMソング、関西人なら誰もが口ずさめるあの独特の節回しを、彼女はステージからファンとのコールで繰り出し、会場を大いに沸かせたのだ。

 このギャップもまた、多くのファンの心を掴んで離さない。パフォーマンス中は気高く、MCは気さくに。その振れ幅の大きさこそが、カズハというアーティストの奥深い部分なのである。