20年前とは異なる「憧れ」の形

 一方で、ゼロクラウンがカスタムシーンの主流になった頃から、現在までその改造にこだわり続けるベテランもいる。

 たとえば10年以上ゼロクラウンをカスタムする40代男性は、イベント展示のためにこれまで全塗装を3回、仕様替えは年2回ペースで実施。改造費はすでに700万円ほどにのぼり、全国各地のイベントでいくつもの賞を獲得する業界の重鎮的な存在となっている。

カスタムカーのイベントで多くの賞を受賞している車両だ
内装のアイデアを思いついた瞬間は楽しいが、形にしていく作業はやはり大変だという

 20代の若者のなかにも、ゼロクラウンに多額の改造費をつぎ込むオーナーがいる。23歳の男性は、VIP系を弄る父の背中を見て育ち、自らもカスタムの道へ。父が足用に使っていたノーマルのゼロクラウンを譲り受け、500万円以上をかけて内外装を大きくカスタムしている。車弄りの費用を捻出するため、「食費を削ったり、欲しいものを我慢したりすることは多い」のだとか。

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ノーマル状態から2年かけて仕上げたゼロクラウン

 これだけ改造された車両が増えると、中古で前オーナーによって改造された車両、いわゆる「デキ車」を購入する人も多くなる。ある男性は、かつて自分で弄った車が事故で全損した経験から、ゼロクラウンの改造車をメルカリで落札。「ノーマルから自分で仕上げる」だけが改造車との唯一の付き合い方ではないことを示している。

以前からポケモンのファンだったYUKIさん。ピカチュウを選んだのは、車とのギャップを意識した面もあるそうだ
VIP系カスタムのベースとして人気の高いゼロクラウン

 このように、ゼロクラウンは「弄り方のノウハウ」が蓄積された車種であり、車を弄りはじめたばかりの若者から、他車との差別化のため研鑽を重ねるベテラン勢まで、実に多様な層の受け皿となっている。

 今もSNSのタイムラインには、さまざまな改造を施されたクラウンが並び続けている。20年前とは形は違うが、現在でもゼロクラウンは誰かにとっての「憧れの対象」であり続けているようだ。

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