自らを「料理人ジェームズ」と名乗る情報源とも会う約束をしていた。メールによると、彼はエプスタインについてよく知っているようだった。たとえば、ワークリリースの期間中にエプスタインが事務所に運ばせたケータリング料理の代金は10万ドルを超えていたとか。その料理の多くは、エプスタインを1時間監視するごとに42ドル以上を稼いでいた保安官代理たちの腹に入ったそうだ。
料理人ジェームズはエプスタインのもとで働いていたのではないかと私は考えたが、調べるべき情報が雪崩のように押し寄せたので、彼が誰なのかを調べる時間はなかった。
料理人ジェームズとアイランド・マイク*はそろって、証拠はないがと断ったうえで、エプスタインが米領ヴァージン諸島の前知事ジョン・デ・ヨンを買収し、さらにはその妻セシルを、セント・トーマス島を拠点とするデータマイニング会社という触れ込みのエプスタインのベンチャー企業、サザントラスト社に雇っていたという。
*島の住人
セント・トーマスは貧しい島なので、エプスタインの意に沿うように地元の政治家の目をつぶらせるのにさほど苦労はなかっただろう。
逮捕後すぐにカメラが外された
実際、セント・トーマス島はエプスタインにとって完璧な場所だった。米領ヴァージン諸島(USVI)は文字どおりアメリカの領土だ。
セント・トーマスのほかにセント・クロイ島、セント・ジョン島、さらにエプスタインのリトル・セント・ジェームズ島など多くの小さな島々で構成される。カリブ海の東端に連なる小アンティル諸島のなかにあり、地理的にはプエルトリコの東、英領ヴァージン諸島の西に位置する。
首都はセント・トーマス島のシャーロット・アマリーで、2010年の国勢調査によると人口5万1634人だった。
エミリーと私がセント・トーマス島に到着したときには、FBIはすでにエプスタインの島の捜索を終えていた。その島で短期間働いていた女性と話してみたところ、その女性のボーイフレンドはエプスタインが逮捕されたときにはまだそこに雇われていたそうだ。
カップルふたりから話を聞くことができた。エプスタインが7月6日に逮捕されると、すぐに個人秘書のレスリー・グロフがニューヨークからやってきて、島のカメラシステムを取り外しはじめたのだという。
