2019年8月10日の朝、未成年者の性的人身取引などの罪で起訴され勾留中だったジェフリー・エプスタイン(当時66歳)が、収監されていたニューヨークの拘置所で死亡しているのが発見された。検視当局により自死と断定されたものの、その死には不可解な点も多く、現在に至るまで他殺説や陰謀論が根強く囁かれている。
エプスタインは少女たちを自分で性的虐待するだけでなく、複数の著名男性にもあてがっていたとされており、今なお、社会的な関心が強いこの事件の裏で、一体何が起きていたのか?
事件を追った現地ジャーナリスト、ジュリー・K・ブラウンによる全米ベストセラー『ジェフリー・エプスタイン 億万長者の顔をした怪物』(訳 依田光江/ハーパーコリンズ・ジャパン、2022年刊行)より、一部を抜粋して紹介する。(全4回の3回目)
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エプスタインは(2019年)8月9日のほぼ終日を弁護団と過ごした。のちに弁護士が報告したところによると、この日は保釈請求について熱心に打ち合わせたそうだ。
彼らは、エプスタインが2008年の司法取引で得た免責に包括性があること、つまり、彼が訴えられている行為の発生場所がニューヨークでも国内の他の場所でも、司法取引の免責によってカバーされるという主張に手応えを感じていた。
「当時、良識ある弁護人が誠意をもって検察と協議した結果の司法取引であり、将来、ニューヨークの検察がまったく同じ件で起訴しうるようなものであれば、取引に同意したはずがない」とエプスタイン側弁護士のリード・ワインガーテンはのちの法廷で述べている。
ワインガーテンとマーティン・ワインバーグ*は、弁護団と依頼人は依頼人に対するニューヨークでの新たな告発を却下させられることに自信をもっていると述べた。一方、保釈の再申請の期日は8月12日に決まった。
*エプスタイン側の弁護士
「自殺志願者の姿ではなかった」
弁護士たちは最後に会ったときのエプスタインを、「絶望して気力をなくした自殺志願者の姿ではなかった」と表している。
同日、不可解なことに、エプスタインと同房のレイズはメトロポリタン矯正センターから、協力的な証人を収容するクイーンズ地区の民間運営施設に移された。
