「広島のカップル写真」が起こした奇跡

――読者からの反響で、特に印象に残っているエピソードはありますか?

髙橋 出版後に信じられない出来事がありました。本書の巻頭と巻末には、象徴的な一枚として「広島のカップル写真」を掲載しています。戦後の広島の街に佇む、とてもモダンで素敵なカップルの姿を捉えた写真なのですが、なんとこの写真に写っているご本人、川上清さんが名乗り出てくださったんです。

1946年8月5日 原爆投下から1年、まだ焼け野原が目立つ広島市街。八丁堀の福屋デパートから南東方向を望むカップルは川上清さんと百合子さん。 「これ、わしじゃないの」と被写体男性が名乗りを上げたニュースが報じられた 共同通信社提供
共同通信社提供

――ご本人が! それは驚きですね。

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髙橋 本当にビックリしました。当時はご存命であることも存じ上げなかったので……。書籍を通じて、カラー化されたご自身の若き日の姿と再会されたというニュースは、私にとっても非常に思い出深い出来事です。

――若い世代と戦争体験世代とで、写真への反応に違いは感じますか?

髙橋 それが、世代ごとの読者の違いというのは正直あまりわからないというか、明確な差はないように感じています。というのも、現在では高齢の読者の方であっても、その多くは戦争を直接体験された当事者ではありません。それが戦後75年(出版時)から戦後81年を迎えた現在の「リアル」なのだと思っています。だからこそ、AI技術によって過去の空気感を視覚的に呼び起こすこの取り組みが、全世代にフラットに届いているのかもしれません。

次の記事に続く 国外の島に取り残された“あばら骨がクッキリ浮き出た日本兵”、防毒マスクを被って走り出す子どもたち…カラー化した写真で振り返る“戦時下日本人のリアル”

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