なぜ80年前の写真に「共感」するのか

――担当編集者として、発売から6年経った今も反響が絶えない最大の理由はどこにあると分析されていますか?

髙橋 大変ありがたいことに今でも読者の方々に手に取っていただいており、先日ついに8刷となりました。紙の書籍で累計6万6000部、さらに電子書籍でも1万部程度お買い上げいただいています。ちなみに電子書籍版は、スマートフォンやタブレットで画像を細部まで拡大して見られる点が非常に好評のようです。

 ここまで息の長い反響をいただいている理由ですが、本書の前半に収録されている「戦前の暮らし」の風景に、今の私たちにそのままつながるような「普通さ」があるからではないかと考えています。

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現存する「本通り」商店街にて、戦前に撮影された写真。本通りは、中島地区と新天地を結ぶ通りとして賑わい、両側に並ぶ広島名物の鈴蘭(すずらん)灯は、通りを歩く人々の目を楽しませていた。しかし、戦況の悪化にともなう金属供出によって姿を消した
奥にみえる旗は「仏旗」であり、諏訪さんの証言をもとに色補正を施している。故諏訪了我(浄寶寺)提供

――「普通さ」ですか。

髙橋 はい。戦前と聞くと、どうしても暗くて重いイメージを抱きがちです。しかしカラー化された写真の中には、笑顔で談笑する人々や、おしゃれを楽しむ若者の姿が鮮明に写し出されています。さすがに2020年代の現代とは街の風景も服装も違いますが、「これが1950年代の写真です」と言われたら、今の若い人たちもすんなり納得するのではないでしょうか。

 その「普通さ」があるからこそ、その後にやってくる悲惨な戦争における加害・被害との落差が際立ってしまい、想像力をかきたてているのだと思います。「自分たちと同じような日常を生きていた人たちが、戦争に関わっていったのだ」というリアリティが、世代を超えて伝わっているのだと感じます。