俳優復帰を決めたきっかけは…
そうやって子育てに格闘しながらほぼ10年間は主婦業に専念していたが、2011年、NHKの大河ドラマ『江 姫たちの戦国』にお市の方の役で出演し、俳優に復帰する。お市の方は織田信長の妹で、政略結婚により浅井長政に嫁ぎ、同作のヒロインである江(のちの崇源院)と、その姉の茶々(のちの淀殿)、初(のちの常高院)と、奇しくも鈴木自身と同じく3人の娘を儲けた女性である。
鈴木が復帰を決めたきっかけの一つには、このとき娘たちが上から順に小学校の6年生、4年生、3年生になり、少し手が離れたことがある。それに加えて、親しくしていた15歳ほど年上の同性の友人が、その3年前に病気で亡くなった影響もあるという。
その友人からは「いましかできないこともあるのよ」とずっと復帰を勧められていたが、「そのうちそのうち」と返事を濁したまま、永遠の別れとなってしまった。「そのうち、で死んじゃうんだ」とショックを受けた鈴木は、彼女の言葉に応えるべく、これからの自分の人生をどう生きていくかを考えるようになる。
その手始めとして、2008年暮れからは女性誌『ミセス』で食をテーマにしたエッセイの連載を始めた。『江』への出演は、その連載中、NHKのプロデューサーから丁寧な手紙で依頼され、自分が必要とされているとうれしくなり引き受けることにしたという。主婦の生活を送るなかで、テレビドラマを見るのを日々のささやかな楽しみにしていたことも後押しになったようだ。
復帰への夫の反応は…
当時の夫の石橋貴明に復帰したいと最初に打ち明けたときには、「家のことも大変なのに、君が働かなくてもいいんじゃない?」という感じだった。だが、何回か話し合っているうちに「君が幸せなのが家族の幸せ。頑張ってください、応援するよ」と理解してもらえたという(『週刊現代』前掲号)。
まだこの時点では「完全復帰」という意識は薄かったが、その後、2012年には『のぼうの城』で映画にも復帰、以来、ドラマとあわせて徐々にまた出演の機会が増えていった。そのなかでトレンディドラマ時代のイメージとは違う、シリアスな役などもこなすようになり、演技の幅を広げていった。
