8月14日に鈴木保奈美が60歳の誕生日を迎えた。ドラマでは今年に入って『対決』(NHK)で医大の理事、現在放送中の『一次元の挿し木』(読売テレビ・日本テレビ系)では世界的な生物学者と、社会的に地位のある女性をあいついで演じている。

 高校生の時にホリプロタレントスカウトキャラバンで特別賞を受賞し、成城大学在学時に俳優デビュー。朝ドラや月9、CMで実績を残すと、あるトレンディドラマへの出演で一挙にブレイクを果たす。(全3回の2回目)

◆◆◆

ADVERTISEMENT

 ドラマ『東京ラブストーリー』(フジテレビ系、1991年)の主人公は、原作である柴門ふみの同名マンガでは地方出身の若手会社員である“カンチ”こと永尾完治(劇中では織田裕二が演じた)だった。それをドラマでは女性に変え、このころ人気が高まりつつあった鈴木保奈美を起用すると、企画が動き出した段階で決まる。

ドラマ『東京ラブストーリー』(フジテレビ系、1991年/FODより)。赤名リカを演じた鈴木保奈美は、放送当時24歳だった

迷わずリカ役を選んだ

 プロデューサーの大多(おおた)亮は、原作に登場する女性キャラのうち、赤名リカと関口さとみのどちらを演じたいか、鈴木に選ばせたという。

 さとみは原作におけるヒロインの一人で、カンチとは同郷の初恋の相手であり、きわめて普通の女性として描かれていた。これに対してリカは自由奔放な帰国子女で、カンチとは職場の同僚であり、原作ではカンチとさとみの仲をかき回す役を担った。

 大多から選ぶよう言われ、鈴木は「『東京ラブストーリー』のヒロインはどう考えてもリカじゃないですか」と迷わずリカを選んだという(中川右介『月9 101のラブストーリー』幻冬舎新書、2016年)。

1997年、当時歳の鈴木保奈美(舞台『郵便配達夫の恋』発表記者会見で)

 このドラマでチーフディレクターを務めた永山耕三にとっても、鈴木とリカは絶妙な取り合わせであり、放送時にこう語っていた。

《もし鈴木保奈美さんという女優がいなければ、「関口さとみ」の方を主役にしてドラマを作っていたでしょう。(中略)安心してドラマの主役として見ていられるのは「さとみ」の方なのです。ただ、私たちは何か鮮烈なドラマを作りたかったのです。/“毒”のあるキャラクターを“好ましい女性”として描くためには、演じる人自身に、その“毒”を上まわる魅力がなければなりません。保奈美さんは「リカ」の“毒”を見事に中和し、素敵な、ドラマの「リカ」を作り出しています》(『婦人公論』1991年4月号)