俳優の鈴木保奈美が、昨年(2025年)暮れから今年正月にかけて各メディアでインタビューに応えているのをよく見かけた。今年は干支でいえば60年に1度の丙午(ひのえうま)の年にあたる。

 日本では「丙午の年に生まれた女性は、夫を殺し、家を滅ぼす」といった話がまことしやかに伝えられてきた。まったくの俗信にもかかわらず、前回の丙午である1966年には、出産を避ける家庭がにわかに増え、出生率が前年とくらべて大きく落ち込むという現象が生じている。

 きょう8月14日が誕生日の鈴木はまさにこの年の生まれで、『獅子座、A型、丙午。』(中央公論新社、2020年/中公文庫、2026年)とずばり題したエッセイ集を出していることもあり、今年還暦を迎える丙午の女性の代表として取材があいついだのだ。(全3回の1回目)

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鈴木保奈美 ©文藝春秋

何か言われても負けないような強い子に

 ある出版社のPR誌の鼎談では、鈴木が改めて母から聞き出した話として、自分が生まれるとき、《祖父は丙午のことをちょっと気にしていたみたいなんです。でも、母と祖母は(中略)「[引用者注:同級生が少ない分]受験なんかで得をするかもしれないし、別にいいんじゃない」という感覚だった》と語っている(『波』2026年1月号)。

 母はさらに、鈴木の同級生の女の子たちがみんなものすごく気が強かったことから、それはその子たちの母親が、丙午のせいで世間で何か言われたとしても負けないような強い子に育てたからだろう、と話してくれたという。

『獅子座、A型、丙午。』(中央公論新社、2020年)

 鈴木自身、子供のときから負けず嫌いだったが、そのおかげで変にプライドが高くて、友達をつくるのが下手だったとも、かつて語っていた。

《たとえば、すごく賑やかなグループがいて、もちろん仲はいいんだけれど、私は完全に中に入ってるわけじゃないんです。遊びに行く時も、私はいてもいなくてもいい人物。私は「絶対に保奈美がいなくちゃ」っていう、その仲間のメンバーとしての存在感が欲しいのに、自尊心が邪魔して、自分のほうから積極的に入っていけないんです》(『週刊文春』1994年8月11・18日号)