就職活動時には教員の採用枠がきわめて限られていたため、同世代の人材が非常に少なく、限られた管理職に業務が極端に集中しやすい構造になっていました。
追い打ちとなった「学校側の不正」
追い打ちをかけたのは、学校側による組織的な隠蔽です。もしも残業時間の上限を超えると、校長が指導を受けたり、学校としての評価が下がったりしてしまいます。
そのため、学校側が「残業時間の上限を遵守している」と見せかけるための改ざんが、田中氏にも指示されていたのです。
公立中学校の勤怠管理記録は公文書なので、こうした改ざんは違法行為です。しかし、田中氏は「ノー」と言えない性格ゆえに、従わざるをえなかったと語りました。
私生活では第3子が誕生し、本来なら幸せの絶頂にいるはずでした。
しかし、パートナーには職場の悩みを打ち明けることができず、次第に家庭内でも孤立し、やがて彼は盗撮に手を染めるようになったのです。
もちろん、職場や家庭でストレスを抱え、周囲に相談できない方は大勢いるでしょう。
ただ、世の大多数の人たちは盗撮などの加害行為には及びません。
では、なぜ田中氏は盗撮を繰り返すようになったのか。
ここからは加害行為のメカニズムを解説していきます。
小児性愛症ではなかった
田中氏は盗撮した画像や動画を自己使用(自慰行為)することは少なく、ひとり眺めては満足感・優越感を得ていたそうです。
彼は、性的意図を完全には否定しませんでしたが、「子どもたちのその純粋な姿をデータとして残しておきたかった」と、私に語りました。
勤務記録を改ざんし、不正を続けている自身の汚れた現実。それとは対照的な、子どもたちの無垢な姿を撮ろうとしていたのかもしれません。
彼は既婚者で、性的対象は成人女性です。
小児性愛症(ペドフィリア)の診断も下りていません。
彼にとって犯行に至る直接的なきっかけは、仕事での過度なストレスや、組織ぐるみの労働時間の改ざんの強制だったと考えられます。
