新潟県妙高山の山麓に眠る、知る人ぞ知る「野湯」の数々。しかし、そこにたどり着くには崩落の危険が立ちふさがる険しい道を越えなければならない。危険と隣り合わせのルートを越えた先に、広がるロケーションはいかほどのものか……。崖の崩落や激流に揉まれながらも、愛好家たちによって守られ続ける秘湯・惣滝の湯を目指した模様をレポートする。
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新潟県の妙高山山麓には多くの野湯が存在する。滝壺や深い渓谷の底、崖の下、荒涼とした地獄地帯――それぞれが個性豊かで野湯マニアの心をくすぐってやまない。
今回目指す野湯「惣滝の湯」の起点となるのは燕温泉。世界有数の豪雪地帯とあって、目的地へと続く道は例年6月頃まで足を踏み入れられない雪の深さだ。
崩壊頻発の道をひたすら進む
序盤の遊歩道は整備されていて実に快適。……と思いきや、ほどなくして現れた吊り橋(妙仙橋)で足が止まった。
ロープは切れ、床板は抜け落ち、無残な姿を晒している。訪問時点では復旧の見込みもなさそうだった。致し方なく谷底へと降り、仮設橋を渡って対岸の急斜面を登り返す。
石や岩が転がって足元の悪い九十九折れ(曲がりくねって続く道)を登った先は、崩落が頻発している危険地帯だ。崖の中腹を横断する道は随所で崩落しており、壁伝いに鎖があるところもある。
ふと見れば、山肌からは白濁したお湯がじんわりと染み出している。野湯マニアの筆者はワクワクしてくる。温泉成分で滑りやすい道を、谷底へ落ちないように慎重に進む。
深い渓谷を刻む大田切川には幾つもの滝がかかっている。落差約26mの直瀑・権現滝の迫力ある姿を横目に登っていく(ちなみに地図上の表記とは少々ずれているが、記憶を辿ればこの位置にあるはずだ)。すると、やがて道そのものが姿を消した。


