ここからは崖の下へと自力で降りるしかない。脆く崩落しやすい崖の岩場を、へばりつくようにして降りていくと、先人がこしらえたエメラルドグリーンの湯船が見える。惣滝の湯を構成するひとつ目のポイント、惣滝の湯(手前の湯)だ。

急な崖を降りていくと湯船が見つかる

地元愛好家御用達「秘密の隠れ家」

 手前の湯は、崖の岩の裂け目からお湯が滝のように注ぎ込んでいる。その下には2~3人が浸かれる湯船があり、打たせ湯まで楽しめる贅沢さだ。湯量は豊富で、湯加減は少し熱めの適温。白濁した柔らかいお湯が心地よい。

岩の割れ目からお湯が湧き出す手前の湯の上の湯船
上から降ってくるお湯に打たれてみる

 上の湯船から流れ出るお湯はそのまま渓流の脇に溜められ、下の湯船を形成している。こちらは少しぬるめの湯温で長湯にぴったりだ。ただし、ここは雪解けの濁流などで、ひとたび増水すれば流されてしまうため、毎年のように姿を変える。

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 それでも、心地よい湯船が確保されているのは、地元の愛好家たちが毎年工事をしてくれているからにほかならない。

 ちなみに、2010年代まではそのさらに下流の断崖の下に、数人が快適に入湯できる広さと深さのある湯船があったが、後の豪雨によって跡形もなく消失してしまった。河原にも幾つも湯船が作られていたが、激流の影響で、現在は河原そのものがなくなっている。