夏の甲子園が佳境を迎えている。

 筆者は今年も各地の地方大会から観戦しているが、今季目立ったのはまず「甲子園常連校の敗退」だ。春の優勝校大阪桐蔭が、大阪府大会4回戦で大阪立命館に延長10回タイブレークの末に敗れたのをはじめ、奈良県の智辯学園、愛知県の中京大中京、千葉県の専大松戸と春のベスト4がすべて地方大会で敗退した。

 もう1つは「公立高校の健闘」だ。昨今の甲子園は、さながら「私学大会」と言いたくなるほど私学の出場が多いが、今年は地方大会のベスト8、ベスト4まで公立高が残った地方が多かった。

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 49の代表のうち公立は9校。昨年夏より3校増え、年々私学との「環境格差」が開く中で大健闘だといえよう。

「高校野球は教育の一環」とはいうものの… ©︎beauty_box/イメージマート

スポーツ最優先の「スポーツコース」を作る私学たち

 私学と公立で差が開いているのは、偏差値も同じである。

 私学強豪校の多くは「甲子園出場」を生徒募集の「広告看板」だとみなしている。甲子園に出場することで、校名が全国に知られ、野球部員だけでなく多くの生徒が集まるという図式だ。

 昨今は野球などスポーツに専念できるカリキュラムを整備した「スポーツコース」を設定している学校が多く、もちろんこのコースでも「授業時間」は確保されているが、運動部活のための時間を最大限確保するために、フレキシブルなカリキュラムになっている。

 最近は、公立高校でも「コース別」の生徒募集をしているが、授業時間や部活動の時間には大きな制約がある。私学のように、スポーツのために柔軟なカリキュラムを組むことは実質的に不可能だ。

 私学は「野球部寮」「専用グラウンド」「屋内練習場」「夜間練習設備」などを整備しており、少子化や住民の高齢化に伴って税収が落ち込み施設整備も十分にできない公立高校が多いこととも対照的だ。

 そんな大きなハンデを乗り越えて、9つもの公立高校が甲子園に進出したのは「偉観」だといえよう。

 少子化が進む中、多くの私学は「甲子園」だけでなく「大学進学」という「看板」も掲げるようになった。東京大学をはじめとする難関大学の高校別合格者は、メディアに大々的に発表される。こういう難関大学に生徒を送り込むことができれば、甲子園同様、校名を高からしめることができるのだ。

 ただ最近は「甲子園出場校の偏差値」に関する報道が出るようになったが、これを見るときには注意が必要だ。