「文武別道」の進学、野球両コースは、求められるものは違うがともに入学するのは「難関」だ。進学コースでは高い学力が求められるし、野球コースは中学時代の実績と身体能力の高さが求められる。入学した時点からも「競争社会」であるのは間違いない。
ちなみにこうした学校の「野球コース」に入った生徒が、勉強ができないか、というと必ずしもそうではない。ただ、中学時代に勉強も優秀だった生徒が「僕は勉強もしたいので、進学コースに入って野球をやらせてください」と訴えても、「カリキュラムが全く違うから」と野球コースに入れられるケースがほとんどだ。
それでも向学心がある生徒の中には、野球部を引退してから受験勉強に打ち込み「進学コース」レベルの大学に進むこともある。
コースがどうであれ、その生徒次第で「どうとでもなる」のだとしみじみ思う。
急増する通信制高校は究極の「文武別道」
ちなみにこの「文武別道」は、高校野球の指導者にはおおむね好評だ。私学の中には生徒数を確保するために毎年数十人もの野球部員を受け入れる学校がある。学校の方針だから指導者も仕方なく総勢100人を超す部員を指導しているが、本心でいえば「多すぎて面倒見切れない」と思っている。
ある強豪私学の監督は「わしはワンバス(バス1台分の乗客数=40人)しか指導できない」と言っていたが、コーチなどを含めて指導者が複数いるとしても、100人は多すぎると思っている監督が多い。その点「文武別道」高では、進学コースでも生徒を集めているので野球部が必要以上の生徒を抱える必要がない。
「うちは東大などを目指す進学コースでもしっかり生徒をとってくれるので、野球部員は3学年で40人が定員になっている。ちょうどいい大きさだ」とは「文武別道」の甲子園常連校の監督の弁だ。
さらに近年、「文武別道」の究極形と言えるのが高校野球界で一大勢力になっている通信制高校だろう。
従来、通信制高校は「全国高等学校定時制通信制軟式野球大会」に出場することになっていたが、最近では日本高野連は一定の条件を満たしていれば加盟を認める方針になっている。
今夏の甲子園に通信制高校の出場はなかったが、2012年長野の地球環境高が春の甲子園に出たのを皮切りに、2016年には北海道のクラーク記念国際高校が夏の甲子園初出場、以後、続々と通信制高校が甲子園に進出している。