引っ越そうと考えていたら「家の下が空いているからそこに住め」と言われ…
――先生のご家族とは面識はあったんですか?
恋池 1回、ばったり会ったような気がします。でも、私以外にも卒業生とか仕事関係の人とか、いろんな人が先生をたずねてきてたので、全然気にしてるような感じではなかったかな。
その後、私が猫を飼える家に引っ越そうと考えていたら、先生が「だったら家の下が空いているからそこに住め」と言ってきて。
――先生が大家さんで、下宿人として恋池さんが同じ家の階下に住む形なわけですね。
恋池 そうです。「家賃はいらない」と言ってくれたんですけど、それはちょっとなと思って、「家賃として月4万円は入れます」って。
先生は「払いたきゃ払えば」って感じだったんですけど、私が渡していた家賃をずっと使わずに取っていたみたいで、結婚したときに先生から全額返されました。
「いつか突然戻ってきたらどうするの?」に「大丈夫だから!」の一点張り
――先生からの下宿の提案は嬉しいものでした?
恋池 嬉しいというより、戸惑いましたね。だって、下に住んでいたご家族がどうなったのか、こちらは全然わからないんで、「いつか突然戻ってきたらどうするの?」と。
引っ越しの手伝いにきてくれた両親も、「うちの娘は下の住人の方が帰ってきたら放り出されるんですか?」って先生に聞いてましたから。
――はっきり説明してくれないわけですか。
恋池 「大丈夫だから!」の一点張りで、全然説明してくれなくて。「大丈夫って何が?」なんですけど、言葉が強いから説得されちゃって。私もうちの親も、なされるがままの人たちって感じでした(笑)。
先生は現役時代もすごく押しが強かったみたいで、「この表現はちょっと……」って交渉に来た編集さんが、最後はいつも先生に言いくるめられて帰っていったらしいんで。
「ご飯は一緒に食べてましたけど…」“2世帯住宅”での先生との生活
――では1階に恋池さん、2階に先生と、それぞれ別に生活をしているような感じだったのですか。
恋池 本当に2世帯住宅って感じで、階段も家の中にはなくて外階段しかないので、別居に適した家っていうか(笑)。
ご飯は一緒に食べてましたけど、掃除とかも各々やっていました。2階の先生の家には洗濯機がなかったんで、先生はいつも手洗いしてて。
――手洗い。
恋池 1階の私は優雅に洗濯機を使って、先生は台所にタライを置いて洗濯してました。料理も上手だったし、モノは捨てられないタイプではあるけど整理整頓もちゃんとしてて。生活力はめちゃくちゃありました。認知症になってしまった今でも足腰は強いですね。

