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「糖尿病」「脂肪肝」「慢性膵炎」には要注意――がんリスクが高い病気

2018/11/02
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なぜ糖尿病になると、がんにかかりやすくなる?

 なぜ糖尿病になると、がんにかかりやすくなるのだろうか。まず、血糖値をコントロールするホルモンのインスリンには、細胞を増殖させる作用がある。糖尿病患者は血中のインスリン濃度が高くなるため、それが細胞のがん化や増殖に関係するのではないかと考えられている。また、高血糖状態にともなう脂肪細胞の慢性炎症が、がんの促進に関係しているという説もある。

 多目的コホート研究から最近報告された研究成果によると、糖尿病の指標となる血液検査値である「ヘモグロビンA1c」が高い人は、糖尿病でなくてもがんのリスクが高くなっていた。つまり、糖尿病と診断されていなくても、血糖値が高い状態が続くと、がんのリスクが上がる可能性があるのだ。それだけに、がんを予防するためにも糖尿病にならないようにし、糖尿病と診断された場合にも、血糖値を上げ過ぎないように心がけるべきだろう。

がんリスクを高める「脂肪肝」「慢性膵炎」

 では、どうすれば糖尿病を予防できるだろうか。合同委員会の報告書で、糖尿病の危険因子として挙げられているのが、「加齢、男性、肥満、低身体活動量、不適切な食事(赤肉・加工肉の摂取過剰、野菜・果物・食物繊維の摂取不足など)、過剰飲酒や喫煙」だ。おわかりのとおり、これはがんの予防法と共通している。つまり、がん予防で推奨されている生活習慣を心がければ、糖尿病も予防できるのだ。

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 また、多目的コホート研究によると、女性では炭水化物の摂取量が少なく、たんぱく質および脂質の摂取量が多い人ほど、糖尿病発症のリスクが低いという結果が出ている。日本人は食後の血糖値が上がりやすい白米を食べる量が多く、それが糖尿病発症と関連すると指摘されている。極端な糖質制限食は心筋梗塞などのリスクを高めるという研究もあるのでおすすめしないが、白米を食べ過ぎている人は、糖尿病とがんの予防のためにも、控えめにするよう心がけたほうがいいだろう。