ドラマ公式SNSでは、第1話終盤の咲子と樹生のやりとりを、実際の台本と照らし合わせながら見ることができるのだが、中島の独特なニュアンスが加わることで、文字だけのときとはまるで違う印象を受ける。

本作のキーフレーズの一つ「好きな人フィルター」についてのやりとり(ドラマ『Tシャツが乾くまで』公式Xより)

「僕にとっては、最も大きな仕事になる」

 本作の情報解禁時に「僕にとっては、これまでで最も大きな仕事になると思います」と中島がコメントしていたことに、とても驚いた記憶がある。

 というのも、ここ2、3年の中島の活躍っぷりは凄まじく、NHK(朝ドラ『あんぱん』若松次郎役/大河ドラマ『豊臣兄弟!』浅井長政役)からNetflix(『阿修羅のごとく』宅間役/『地獄に堕ちるわよ』須藤豊役/『ガス人間』小畑の過去の姿役)まで、話題作への出演が途切れることがない。しかも、軒並み良作なのである。

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 作品選びの際は「自分にとっておもしろそうか」「ワクワクできるかどうか」を判断軸にしているとのこと。幼少期から足繁くビデオショップに通っていたというほどのテレビ・映画好きとあれば、その確かな選球眼にも頷ける。

「ふてほど」で残した強烈なインパクト

 その名がたちまち全国区になったのは、宮藤官九郎脚本のドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系、2024年)だろう。演じた安森は中学校の教師で、決して出番が多い役ではなかったものの、ひとたび登場すれば強烈なインパクトを残して去ってゆく。いかにも二枚目然としたルックスながら「なんか妙な人」と認識した視聴者も多いのではないだろうか。

80年代の教師・安森を演じ、タイムスリップした令和の社会学者。サカエ(吉田羊、写真左)への告白シーンなどが話題に(ドラマ『不適切にもほどがある!』公式Xより)

『ふてほど』以降、露出が一気に増えたことから、“ここ最近の人”というイメージがあるかもしれない。しかし、デビューからはすでに10年以上が経っている。美輪明宏演出・主演の舞台『黒蜥蜴』(2013年)で俳優人生をスタートさせ、美輪が語りを務めた朝ドラ『花子とアン』(NHK総合、2014年)でテレビドラマ初のレギュラー出演を果たすものの、その後はしばらく仕事がない時期を経験したなかなかの苦労人だ。

国語教師を目指し、先祖には文豪が…

 さらに経歴を遡ると、もともとは国語教師を目指して日本大学藝術学部に進学。在学中は落語研究会に所属しており、先輩に無理やり名付けられた高座名は「大家主水(だいやもんど)」だった。さらには明治の文豪・国木田独歩の玄孫というのだから、強烈な設定が多すぎる! 調べれば調べるほど「中島歩」という人そのものに、興味が湧いてくるのだ。