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アンビバレントな人物である「樹生」
なかでも樹生は、“遺族”や“サレ夫”などと、簡単にラベリングできないアンビバレントな人物だ。妻を失った喪失感とやるせなさを抱えながら、充のパートナーである咲子と心を通わせていく。それでもなお、いまも妻を愛している。彼のなかに渦巻く感情は、ひとつの言葉では到底説明がつかない。
どの役にも溶け込めるようなバイプレイヤー俳優が評価される傾向にあるなかで、中島のように、本人の個性を色濃く残しながら、作品内に存在できる俳優もまた貴重である。
余談になるが、このコラムを書くにあたって手当たり次第に情報を漁っていたところ、中島が自作の曲に乗せて名著を朗読するという不思議な質感のYouTube(『中島歩の音と本』)を発見した。どこまでも掴みどころがない人だ。そんな彼の魅力をあえて一言で表すなら、やはり「おもしれー男」になるのだろう。
