天然の泥パックで至福のひととき

 アイスブルーの緩やかな流れは「通し川の湯」と称される。この流れは湯の池地獄「下の湯」と「上の湯」の2つの地獄を結ぶ。

 森の中の緑のトンネルから天の川のように流れ出る青白いお湯は、ほわほわと立ち上る湯気を木漏れ日に輝かせて幻想的な雰囲気を醸し出している。

 あまりに美しい野湯に、思わず引き込まれるように入湯する。適温ながらも底の泥からは熱めのお湯が湧出しており、時折冷たい流れがやってくる。

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浸かるとまるで天国にいる気分に

 感無量の湯浴みが、過酷な道のりの疲れを癒し、心身ともに蕩けていった。ちなみにこの川底の泥は硫黄成分が濃く肌にとても良いとされている。紫外線に晒され続けた顔に泥パックして、しっかりとお肌のお手入れを行い、翌日にはツルツルに生まれ変わった。

硫黄たっぷりの泥でお肌のパック

 通し川の上流には「湯の池地獄上の湯」があるとのことなので、川を遡って行こうとしたが、底の泥が所々激熱で断念。陸に上がり、森の中を川沿いに進む。10分も経たないうちに視界が開け、随所から噴煙が上がる荒野に出た。

 ここが「湯の池地獄上の湯」である。しかし、熱すぎてとても入湯できない。

湯の池地獄上の湯では湯船は作れなかった

 流れは全て熱湯で、湯船を作ることもできなかった。

沸き立つ水の周りは全域ボッケ帯

 今度は「湯の池地獄下の湯」を目指して通し川を下流に向かうが、崖でさえぎられて川沿いには進めず、ヤブコギしながら前方に広がる空の下を目指す。崖を越えると目の前に大きな池が現れた。野球場ほどの広さの水面全面から湯煙が立ち昇っている。

 池の中では巨大なジャグジーのようにブクブクと熱湯が噴出。見ているだけで畏敬の念すら覚える光景だ。

水面にはジャグジーのように熱湯が噴出している

 岸はほとんど全て噴出した泥で形成されており、その地中のほぼ全域に、空洞に熱泥が溜まった「ボッケ」が存在。

 池は熱湯でとても入湯できないが、温度が低い場所が無いかを探し回る。

 泥が固まった場所を選んで進むが、少しでも気を抜くとズボっと足が沈み込み、火傷しかねない。そのため、ストックで地面を突きながら慎重に進む。まるで地雷原に飛び込んでしまったような感覚だ。