織田ほどの才能でも勝てない

 織田翔希は、間違いなく世代トップ級の投手だった。渡辺元智氏が「松坂以上」と評したことも、決して大げさではない。球速、キレ、球種、スケール。高校生としての瞬間最大値は、歴代級と言っていい。

 しかし、今の甲子園は、スター一人の大会ではない。有名な投手、有望株、ドラフト候補が一人いるだけでは、最後まで勝ち切れない。むしろ、派手さはなくても、投手を分担できる。守備でミスを最小化できる。打線が局面ごとに対応できる。相手エースが落ちた瞬間を逃さない……。そういう洗練されたチームが、夏の頂点に近づく。

 織田の敗戦は、才能の否定ではない。むしろ、才能だけでは勝てない時代に入ったことの証明だった。かつての高校野球は、怪物が大会を支配する時代だった。しかし令和の高校野球は、怪物をどう支え、どう分散し、どうチーム全体で勝ち筋を増やすかの時代である。だからこそ、織田翔希ほどの圧倒的なタレントをもってしても勝てない。それが今の夏の甲子園であり、横浜高校が準決勝で突きつけられた、あまりにも納得できる敗因だった。

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 このように突出した個の力ではなく、精度の高い守備、データに基づいた緻密な投手運用、厚みのある打線が有機的に機能する「完成度重視のチームビルディング」こそが、現在の甲子園で頂点に立つために必要な形になる。球数制限という制約は、逆説的に高校生たちの技術と指導者たちの知恵を極限まで引き出す強力な触媒となった。「誰が最後まで投げ抜くか」ではなく、「どのようにチーム全体で27アウトのパズルを完成させるか」。この問いに対する最適解の探求こそが、次なる時代の高校野球の姿を形作っていくであろう。

最初から記事を読む 「松坂よりはるかに上」と元監督に絶賛された織田翔希も2回1/3 4失点の敗戦投手に…令和の甲子園から“怪物エース”が消えた“本当の理由”とは