10階――ここには重犯罪者が収容されている。

 しばらくするとアクリル板で隔てられた向こうの小部屋の扉が開いた。刑務官をともない今井は、短髪に濃紺色のスエット上下で現れ、軽く一礼した。と同時に私と海塚も立ち上がり、同じく一礼した。そしてシンクロするかのごとく、そこにいる3人がほぼ同時にパイプ椅子に座った。

「無実を証明したい」

 こうして今井と対面するのは初めてだった。冒頭の、直撃取材当時から印象的だった黒縁メガネをかけ、肌の色はよく、またいくぶんふっくらしたように映る。それを問うと、今井は言った。

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「体重は20キロも増えました。単なる運動不足ですね」

 そしてアクリル板越しに名刺をみせながらの挨拶を済ませた後、本題に入った。

「手記を書きたいと伺っています」

「はい。やはり自分の言葉で無実を証明したいんです」

 今井が、「それには手記を出版するのがいちばんだと思ったので」と続けた後に、私は言った。

「今井さん、恐縮ですがいきなりの出版はお約束できません。まずは、こうした面会の様子と、手記の内容の要約とで『FRIDAY』で記事にさせていただき、世間の反応を見てからにさせていただけませんか。観測気球じゃないですけれど、反響が大きければ、私としても出版社にプッシュしやすいので」

 今井はすぐには答えず、でも、ぽつりと言った。

「そうですね……、はい」

 東京拘置所の面会時間は10~15分ほどと短い。私は聞きたいことを忌憚なく言葉にすることにした。

「やはり死にたくないですか?」