転落死の真相は…

 確かに今井には、私からしてもASDや知的能力障害がある蓋然性は高かった。

 それが顕著なのが、内容が読み取れないほどの、手記の“黒塗り”である。今井は拘置所での検閲を理由としたが、通常は個人情報に関わる部分に止めるところ、それが首をかしげるほどだったのだ。

 他に手記に記されていたのは、亡くなった3人の高齢者が認知症を患っていたことや、事故死や真犯人がいる可能性が拭いきれない状況を、今井なりに考察したものだった。冤罪を主張するならば、アリバイや真犯人につながる新事実、転落死の真相を知りたかったが、それはなかった。

ADVERTISEMENT

 主には障害等を理由とした弁明に終始していたのだ。これでは世間からの共感は得られないし、出版は難しいだろう。そんなことも思わせる内容だった。

最初から記事を読む 「入所者3人が転落死」なぜ川崎の老人ホームで次々と人が死ぬのか…【事故死でも、自殺でもない】捜査でわかった「驚きの犯人」(平成26年の事件)