「宣行は、ずっと前から2階に上がるのを嫌がってね。だから私は10年以上、上がったこともなかったのよ」

 普段顔を合わすことはなかったのだろうか?

「そうだね。食事は階段のところに置いといたのを宣行が取りに来て、お風呂は月に一回ぐらい入っていたかな」

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「トイレはどうしていたんですか?」

「汚いといって、下のトイレは使わなかったね。2階にはトイレがないから、ビニール袋で用を足していたみたいだね」

 彼女の発言から窺えるのは、佐藤の異様な生活ぶりであった。

監禁部屋に足を踏み入れると…

 彼女の案内で、少女が監禁されていた2階に上がった。

 母親は10年以上にわたって2階に足を踏み入れたことはなく、事件発覚後に久しぶりに足を踏み入れたのだった。

 階段を上がると、廊下の床の表面が剥げているのが見えた。排泄物が入ったビニール袋が置かれていたため、腐ってしまったのだ。