1957年に沖縄で創業したオリオンビールは、昨年9月、東証プライム市場に新規上場を果たした。沖縄で70年近く「県民ビール」愛されてきたオリオンビールは、今や日本中で愛されるブランドに成長した。

 こうしたオリオンビールの進化は、2021年から社長を務める村野一氏(64)による数々の改革の成果だ。特に、2023年にブランドライセンス事業の専門部署を立ち上げるなど、ブランド価値を軸にした戦略を打ち出してきた。沖縄を代表するブランドとしてオリオンビールが確固たる地位を確立するまでを、村野氏が語った。

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ブランドが持つ力の大きさ

 今、ありがたいことに沖縄の観光地ではたくさんの観光客や修学旅行の学生さんがオリオンビールロゴの入ったTシャツやバッグを身につけて町を歩いてくれています。グッズの流通総額は約60億円にのぼり、ライセンス収入はコロナ前の約4割増となりました。ですが、私が社長に就任した当時は、オリオンビールの関連商品はお土産屋さんの奥でひっそりと売られているだけでした。社内に専門部署もなく、どこの会社とライセンス契約を結んでいるのかも、全ては把握できていなかった。これではオリオンビールのブランドを守ることはできないと考え、交通整理することから始めました。

村野一氏(オリオンビール提供)

 企業のブランドの大切さは、ソニー時代に骨の髄まで叩き込まれました。あの会社には「SONY」の4文字に命を懸けている人がたくさんいるのです。デザイン室(現クリエイティブセンター)という部署があって、新商品がソニーのブランドイメージに見合っているかを厳しくチェックする。開発部や営業部がGOサインを出した商品でも「こんなかっこ悪いものはソニーから出せません」「ソニーらしくない」と突っぱねられることもありました。

 まだソニーブランドが浸透していない国でビジネスをしていた時には、「Made in Japan」のブランドの強さも痛感しました。中東の国でビデオデッキを売っていた時、ソニーのことを知らないお客様が「Made in Japanならいいものに違いない」と買おうとしてくれたのですが、ビデオの挿入口をパカッと開けると、中の部品に「Made in China」と書いてある。「なんだ、日本製じゃないじゃないか!」と怒って、結局買うのをやめてしまったことがありました。それくらいブランドの持つ力は大きいのです。