――いい意味でつかみどころがないです! 当初は毒親ものかと思っていましたが、娘(主人公の諸星桜)がめっちゃ闘っているので違うなと。「こういうマンガなんでしょ?」という想像をひっくり返される快感があります。

 毒親マンガではないですね。娘がヤバい(笑)。

――地方から東京の大学を受験するという主人公の設定には、鳥さん自身の体験と重なるところもあるように思いますが、感情なども反映されているのでしょうか。

ADVERTISEMENT

『二月に殺して桜に埋める』(白泉社)第1巻より

 そうですね。この作品は「娘が母親を殺した滋賀の事件をモチーフにしているのでは?」と聞かれることがありますが、まったくそうではないです。

母親と対決したことも…

――主人公のように、お母さんと対決したこともありましたか?

 ありましたね。今はけっこう親と仲がいいです。不良とかも一回ボコボコに殴り合って仲間になったりするし、親子も一度徹底的にケンカしたほうがいいんじゃないかなと思う。本音を一度も言わないまま30歳くらいになってしまうと、修復不可能になってしまうんじゃないでしょうか。これも結果論ですね。

 あと、まちがった博多弁を書いている人があまりに多いので、正しい博多弁を書き残そうという目的もあります。「博多弁ってかわいい」とよく言われますが、博多弁で女の子が怒ったら本当にこわいんだよ、と伝えたいです(笑)。

『二月に殺して桜に埋める』(白泉社)第1巻より

 毒親が登場する作品ってだれかが助けてくれる話が多いと思いますが、現実はそうはいかないことの方が多い。なので、その状況でがんばっている人を描きたい気持ちがあります。

ヤバい人のヤバい言動をそのまま描いていきたい

――ある種理不尽な環境の中で生きる人たちを描くというのは、鳥さんの代表作とも言える『東京最低最悪最高!』、初小説の『漫画でイけ』にも共通するように思います。

 ヤバい人たちのヤバい言動をそのまま描いていきたいんです。基本的にだれかが虐げられているのは好きじゃないし、守られているだけのシチュエーションになるのも避けたい。自分勝手でもいいから殴り返していくほうが、個人的には好感が持てます。