集合知の四要件を満たすとAIは本領を発揮する
勝間 どういうことですか?
牛尾 私たちは徒歩だと時速4、5キロでしか移動できません。でも車を使えば、それこそ時速60キロから100キロぐらいのスピードが簡単に出る。だから目的地に着くのに車を使ったほうが断然速いわけだけど、運転は必ず人間がするよねという話です。交通ルールや安全性や実際の道を把握している人間が舵を取る。
勝間 それでいうと、AIも、車のような免許制度じゃないけど、基礎を教育した方がいいんじゃないかとずっと思ってるんです。数時間の講習でもいいから、学校で必須にしたほうがいいくらい。
牛尾 それは名案ですね。
勝間 AIの基本的な性質はきちんと理解しておいたほうがよくて、散らばっている情報を集約するのはすごく得意です。集合知の四要件――多様性・独立性・分散性・集約性。これを満たしているものなら、AIは本領を発揮します。逆にそれを満たしてないのは苦手で、ようは抽象に落とし込めないものはダメなんですよね。先にふれたような、「青山ブックセンターにもっとも近い駐車場にいくルートを探して」みたいなのは不得意です。固有名詞の各要素が強すぎるので。
あとシンプルにAIの何がすごいって、情報源として最高ですよね。
牛尾 もう無限に知ってますからね。地上のインターネットにあるものは全て学習してるくらいの勢いで(笑)。
勝間 ワーキングメモリーが大きいので、水平思考(ラテラルシンキング)も非常に得意なんですよね。AとBとCとDを組み合わせるとこうなるよね? みたいな思考。だからカーナビの操作を尋ねると、その機種について知らなくても、類似のいくつかの仕組みを踏まえて「こうじゃないですか?」と確度の高いサジェストをしてくれます。
AIって基本的に集合知のエージェントだから、プログラミングが得意なのはもちろん、どうでもいいビジネスメールのテンプレートもお手の物でしょう。お礼状とかお詫びとか(笑)。でもこれがクリエイティビティの求められる文章になった途端に破綻するけれど。
牛尾 たしかにクリエイティブはいまいちですよね。過去にあったものを組み合わせて確率計算で出しているだけですから。仕事でAIをさんざん使い倒してますけど、僕はブログを書くとか趣味の音楽演奏では全く使わないですね。
勝間 クリエイティブでは、大したものが出せないけれど、誤字・脱字チェックとかにはすごく便利(笑)。
牛尾 それは有効な使い方ですね。今日は家電の話から勝間さんの超実践的なAI活用法までいろいろうかがえて、非常に面白かったです。
勝間 こちらこそ。『部下としてのAI』は、世の中にあまたあるAI本のなかでも、非常に深いことがたくさん書いてある本物の一冊だと思います。皆さんにぜひ読んでほしいなと思います。
牛尾 ありがとうございました。
(青山ブックセンターにて)
