そのころでした。私にとって非常に大きな「事件」が起きたのです。
退社1週間前の9月23日、私は渋谷東急Bunkamuraにあるシアターコクーンで吉田鋼太郎さん演出のお芝居「アジアの女」を観に行きました。
映画と同じようにお芝居が大好きで、年間100本は舞台を見ています。これほど劇場に足を運んでいる局アナは他にはいないと自負していました。さらに映画を毎年150本ほど観ているので、スケジュールはいつもいっぱいいっぱい。テレビドラマも観る暇がないくらいです。
主演は石原さとみさん。観始めてしばらくすると、急に腰が痛くなり始めました。それはいつもの尿意とは全然違うもの。あまりの痛みに物語が、セリフが、頭に入ってきません。脂汗をかき始め、体を動かしてなんとか痛みを逃がそうとしたので、後ろの人はかなり迷惑だったと思います。
そしてようやく幕間。ここで私の精神は事切れました。今まで映画やお芝居の途中で帰るなどという、カンヌ映画祭のお客さんみたいなことはしたことがありませんでした。
しかし、あまりの激痛に耐えられず、キャストやスタッフの皆さんに申し訳ないと思いながら私は劇場を出たのです。
向かった先は病院ではなく整骨院だった
劇場を出てしばらくしても腰の激痛は一向に治る気配がありません。一体なぜこんなことに……。思い当たる節がありました。
引越し作業です。大きな声では言えませんが、私はアナウンス室のあちこちに自分の資料や放送に使う小道具などを溜め込んでいて、想像を絶する量になっていました。この片付けが大変で慣れない力仕事だったので腰を痛めたのだろう……。
そう確信した私は飛び込みで渋谷の健康堂整骨院へ。対応してくださったのはベテランの女性。何歳なのかよくわからない不思議な感じの方でしたが、みるみるうちに腰の痛みはなくなっていったのです。
感謝感激雨あられ。良い店に入ることができ、本当にラッキーだと思いました。こうして整骨院とのお付き合いが始まるのです。
「いやいや違うでしょ、がんでしょ、検査で擬陽性なんでしょ」
今ここを読んでいる方は、瞬間的にそう思ったと思います。確かに今思えばそうです。でも考えてみてください。私は2回の検査で「がんの疑いはなし」。その結果を得て、3回目の検査でも「腫瘍が悪性である可能性は低い」との結果でした。
さすがに、がんの可能性は私の頭の中から消えかけていたのです。
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