死を覚悟した瞬間

「PET(ペット)」というカラーでがんの画像診断ができる特殊な検査の結果も見せていただきました。私の全身のあちこちが黄色に光り輝いていました。「すべてがん細胞」だと先生が言います。めまいがしました。泣きたくなりました。

 それまでも「死の影」は感じていました。しかし「死を覚悟」した最初がこの時でした。

「ほとんど無数といっていいほどがんが全身に散らばっています」

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「えー!」と妻。

(俺、死ぬの?)

 地に足がつかない感じになりました。ぼーっとして来て、

「それって良くないですよね」

 と私が聞くと、

「良くないですが、もともと悪性リンパ腫というのはそういう病気ですから」

 全身にがん……。樹木希林さんのいう「全身がん」とはこのことだったのかもしれない。そんなことが頭をよぎりました。

「実は左肩が五十肩になって、痛いんですが」

「いや、五十肩ではないですよ。左肩の骨にもがんが確認できます」

「このまえ、鍼を打ったら結構よくなったんですよ」

「でも、ありますから」

 ホントに左肩もまっ黄色でした。

 話せば話すほど悪い情報ばかり。

 しかし、先生と話していると不思議と落ち着くのです。

 先生は「大丈夫」などといううわべの励ましは言いません。「がんばりましょう!」と感情論に訴えたり、やたらと良い情報だけを提示したりもしません。でも、冷静で落ち着いたその話しぶりに、私の病気を完全に掌握しているという、がんと闘う自信のようなものを感じたのです。

 一方で、明るくハキハキと受け答えをして、その場のムード作りにがんばる妻の姿が心にジンと来ました。

「大丈夫!」

 妻が私を鼓舞するように声をかけてくれました。

「そうだな、頑張るよ」

 そう私は1人じゃない。それだけはまぎれもない事実でした。

「節分。病室で静かに豆まきできました(笑)」
次の記事に続く 顔面に巨大な蕁麻疹が発症、体は鉛を入れられたような猛烈なだるさ…フリーアナ笠井信輔が明かす、“24時間×5日間”の連続抗がん剤投与治療のリアル

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