22日の会議上か定かではないが、結果として「これらの動きは今回の契約を快く思っていない人物が、取引を妨害する目的で行っているのであろう」との見解が示された。

 その流れのなかで、「前倒し決済」が社内で持ち上がったのだ。

内容証明の真偽を問わなかった積水ハウス

 23日には内覧会での長谷川不在の委任状を作成した弁護士事務所で、カミンスカスに長谷川、C営業次長やAなど総勢9人で打ち合わせが行われた。この時初めて、C営業次長が長谷川に内容証明を見せながら「真の所有者を名乗る人物からこんな内容証明が届いている」ことを説明した。

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 長谷川は“役者”としてなりすましに抜擢された女であるが、本物の役者ではない。ドラマのように涙ながらの迫真の演技などすることはない。ただ淡々と「そう言われても自分はここにいますし……」と、なんの説得力も感じられない答えをするのみだった。

 その場にいたカミンスカスは「こうした通知書が来るのであれば、先に決済して所有権を移転した方が騒ぎは収まる」などと重ねた。

カミンスカス操氏(写真:筆者提供)

 それに対しての積水ハウスの対応は「内容証明の真偽を問うこと」ではなく、口頭で「内容証明を出していないこと」「自分以外に本件不動産の所有者は存在しないこと」を確認し、それを確約する書面に署名させただけであった。

 5月24日、25日と2日間にわたり同じ弁護士事務所で打ち合わせが行われた。

 24日にC営業次長から「本決済の前倒し」が提案され、25日には前倒しは決定されたことがカミンスカスの捜査資料などに書かれている。これにはカミンスカスも驚いたことだろう。もちろん断ることはなく「なるほど」と答えたようだ。

 さらに、売買契約とともに積水ハウスで当時建設中だった「グランドメゾン江古田の杜」の約11戸を約7・5億円で長谷川に購入してほしいという話も出ていたが、その決済についても本決済当日の6月1日に合わせて行うことに決まった。

 いよいよ商談は大詰めを迎える。