何よりもマキノはずっと一緒に芝居を作ってきた同志。子どもがいない2人にとって、作り上げてきた芝居は子どものようなものだったのかもしれない。

「私は芝居のことしか語れないし、この人を逃したら私、誰と何を語るんだろうと思って」(同上)

 離婚も再婚もマキノはおおらかに受け止めてくれた。穏やかな性格は、性格がキツいキムラにはぴったり合っているのだという。同じ家にいるが、たまに会うだけで一人の時間が多い。お互いに束縛しない自由な関係を楽しんでいる。2回結婚したからこそ得た境地だ。

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演じることは、人間について考えること

 キムラは「カメレオン女優」と言われるが、いわゆる「憑依型」ではまったくない。脚本を読み込み、演出家や共演者とディスカッションを重ね、七転八倒しながら役を掴んでいく。

「役をつくる作業は苦しいです。散々、すったもんだします。まったく違う方向に行ったり、何も浮かばなかったり、浮かんでもできなくなったりとか、いろんなところに行ってジタバタして、最終的になんとか間に合う感じですね」(web DICE 2010年7月1日)

『VIVANT』公式Instagramより

 それでも、やっぱり演じることは幸せなのだという。そこに人間を演じる面白さがあるからだろう。

「役を演じることによって、いろんなことを思い、人間について考える時間が与えられる。自分にはないものを持っている人や、日常ではまったく理解できない人。そんな人=役に何とか近づきたくて、芝居をしているんだと思います」(AERA DIGITAL 2019年2月10日)

『VIVANT』では日本の利益を第一に考え、拷問や処刑の指示も辞さない体制の守護者たる別班の司令をシリアスに演じている。これもキムラが考え抜いた末に作り上げた役柄なのだろう。一方、プライベートでは国会前での高市政権を批判するデモに参加した様子をInstagramにアップしている。BGMは京都に長らく住んでいたフォークシンガー高石ともやの反戦ソング「明日なき世界」だった。心と演じる役柄はまったく別。これこそプロの役者である。

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