「そら、やっぱり……」岡田が理想とする“4番”とは?
岡田が結果と同様に4番に求めるもの――「姿」とは何なのか。
どんな状況でも逃げずに、困難や逆境に向き合うことができる人間かどうか、ということだ。
近年の阪神で4番と言えば、第1次政権時の岡田も絶大な信頼を置いていた金本だろう。
2004年7月にデッドボールで左手首を骨折してもグラウンドに立ち、右手1本で安打を放ったシーンは今も伝説として語り継がれている。勝っても負けても、試合直後に1時間以上も素振りをしていたこともあったという。4番での出場は球団史上2位の921試合。厳しく自分を律し、チーム内外に見せ続けた背中があった。
そんな「姿」を大山と佐藤、どちらが持っているのか――。
その時にふと、私の頭にシンプルな疑問が浮かんだ。岡田にとって理想とする4番像はあるのだろうか。これまで選手として指導者として数多の4番打者を間近で見てきたはずだ。
岡田に尋ねると、「せやなぁ……」としばらく考えた後、はっきりと1人の選手の名前を挙げた。
「……そら、やっぱり“カケさん”やろう」
カケさん――“ミスタータイガース”掛布雅之だ。
掛布は千葉県の習志野市立習志野高校から1973年ドラフト6位で阪神へ入団。下位指名ながら高卒1年目から83試合に出場し、2年目にはサードに定着した。1985年は4番としてリーグ優勝、日本一へ導き、通算349本塁打は球団記録となっているレジェンドだ。
そんな掛布のことを岡田は「カケさん」と呼ぶ。2歳年上である先輩の「姿」を、実感を込めて振り返った。
「俺がプロに入った時から、カケさんはずっと4番という立場やったしな。それを見てたし、一緒にやってきたから。ホームラン王も獲った実績もあるし、プレーや姿で引っ張るというかな。言葉で引っ張る4番なんかおらんやろ? カケさんもそうやったで」
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