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「あなた方の他に頼める人いないでしょ!」
聞けばさっきから藤村くんに電話してるんだけど、さっぱり出てくれないんだ、と。それで私、嬉野の携帯に電話したんだと。もう大変なんだと。「大泉洋リサイタル」が近いんだと。でも、中身がまだなんにも決まってないんですよと。
こう電話口で矢継ぎ早に大物はまくし立てるのですが、いまひとつ話が見えず要領を得ない。なので私も、「へえ~、大変じゃないですか?」と他人事のように返しましたが、大物は、「そう。大変なんですよ先生」と構わず言葉を続けるのです。
「それでね。『大泉洋リサイタル』で衣装替えとか私が舞台からはける幕間にね、観客のみなさんへ向けて見せる繫ぎの映像を作って欲しいんですよ」と、こう言われるものですから、なるほど仕事の依頼だったかと、ようやく私も合点がゆきました。
そういえばだいぶ昔にもやったことがあります。
「あぁ、昔、『大泉洋ワンマンショー』でやりましたね。『喧嘩太鼓』。あれってもう10年以上前(2011年)じゃないですか?」
「そうなんですよ。あんな映像をまた作って欲しいんですよ」
「はぁ、なるほどね。え? でも、あなたのリサイタルツアーって、あと2ヵ月もないじゃないですか? そんなスケジュールでこれから撮影して編集まで上げるってことですか? 我々だってある程度忙しいですよ」
「そんなこと言ったって、あなた方の他に頼める人いないでしょ!」
「じゃあ、とにかく大泉さん。懲りずに藤村くんに電話し続けてくださいな。おもしろいことを考えるのは彼の担当ですから。私からも、あなたの電話に出るように連絡入れときますから」
そう言ってその晩は電話を切ったわけです。