大泉洋氏からの無謀な丸投げに対し、監督の藤村忠寿氏が取った行動はさらなる丸投げだった。事前に何も決めず、本番の瞬発力と張りつめた緊張感のみで奇跡を起こす、『水曜どうでしょう』流の真剣勝負の流儀とは?
同番組で長年、カメラ担当ディレクターとして活躍する嬉野雅道氏の最新エッセイ『だから僕らは出会わなければならないのです。』(集英社インターナショナル)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目)
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気が重い、厄介な仕事
やっぱり丸投げしても受けてくれるのは、無審査で金を貸してくれる『水曜どうでしょう』くらいしかない。
しかしながら今回は、藤村くんも二つ返事で気安く引き受けるような仕事でもない。
だって、大泉洋は今や日本の大物です。
それが証拠に、「大泉洋リサイタル」のチケットは、舞台の中身も決めないのに全会場分が飛ぶように売れて完売してしまうヒートアップです。しかも東京の会場はあの日本武道館です。大物・大泉洋があの武道館で歌うのです。「それは一目見たい」と世間は騒ぎ、見たい人がどんどん増えて後を絶たない。
でも会場のチケットは完売してしまっている。それで急遽、全国の映画館にも人を入れてライブビューイング上映が決まってしまった。そればかりか、ディレイビューイングという後日映画館で上映するやつまでやることが決まったらしい。
そんな大箱に掛ける映像だとなれば、幕間の繫ぎ映像とはいえ会場が沸かないようなものは見せられない。だったらこれはある程度厄介な仕事でしょう。藤村くんにしてもそれなりには気が重い。
さらに、ここは私個人の邪推ですが、ひょっとすると大泉洋さんはこの段階までは、藤村くんに丸投げした幕間の繫ぎ映像の上がりを見て、ご自身のリサイタルのステージ構成を構築する足掛かりにしようと本末転倒なことを考えていたかもしれない。
