『オペレーション:カブール 極限救出48時間』

 次も、中東の人々がおかれた理不尽な状況を描いた作品だ。

 2021年、米軍の撤退とタリバンの侵攻を受けてアフガニスタンのカブール国際空港に人々が殺到し、米軍機にしがみつこうとして落下する犠牲者も出たニュース映像は衝撃的だった。本作は、まさにその当時の空港が舞台になっている。

『オペレーション:カブール 極限救出48時間』

 軸となるのは、ハンガリー軍の特殊部隊。彼らの任務は、ハンガリーに協力した現地人たちを救出し、空港の輸送機に乗せることだった。迫りくるタリバンの攻勢と、いつ襲いくるかわからないテロの恐怖の中で、時間は限られている。それでも、リストに記された人々を一人も漏らさずにピックアップしなければならない。その困難なオペレーションに挑む姿が、緊張感をもって映し出されていた。

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 余計な情緒性を排したソリッドな演出に貫かれており、個々の人物描写も含めて、武骨、硬骨、骨太――と、近年のハリウッド映画から失われつつある「骨」のある戦争アクションに仕上がっている。特に、女性医師による市街の病院からの脱出行と救出劇はサスペンスが巧みに仕組まれており、基地内だけでは単調になりかねない展開に刺激的なアクセントをもたらしている。

 さらに素晴らしいのは、ハンガリー軍の活躍を描いたハンガリー映画であるにもかかわらず、手柄話的な美談に終始していない点だ。彼らに課せられたのは、リストにある協力者の救出のみ。ということは、それ以外の人々は見捨てるしかない。時には、助けを求めて空港に殺到している数多の人々を踏み台にせざるをえないことも――。結果として命の選別をしないと、オペレーションは完遂できない。その理不尽な残酷さにも目が向けられている作り手の視線により、凡百の英雄譚と一線を画す仕上がりとなった。

『オペレーション:カブール 極限救出48時間』
監督:ゾンボル・ディガ/出演:ガボール・ヤスベレーニ、ブランカ・メサロス、タマーシュ・ボロヴィチ、デビッド・ハジマシ/2025年/ハンガリー/97分/配給:彩プロ/A SÁRKÁNYOK PRODUKCIÓ KFT és az MTVA © 2025/9月11日(金)よりロードショー