『ワンオペレーション』

 最後も、人の命にかかわる「オペレーション」を描いた作品だ。

 今度の舞台はアメリカ。重い病を抱える幼い娘の世話をしながら、自身もセラピストとして働く女性の地獄のような日常が描かれる。

『ワンオペレーション』

 夫は長期出張で助けにならないどころか、全く役に立たない助言を口やかましく電話口でまくし立ててくる。さらに、自宅アパートの天井が崩落し、娘とともに格安のモーテルで暮らすことに。悪いことが重なる上に、自身の患者たちへの対応、娘の担当医から課せられるノルマ――そのすべてを一人でこなさねばならず、睡眠も休息も満足にとれない中で、彼女自身の精神が蝕まれていく過程が繊細かつスリリングに映し出される。

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 圧巻は、本作でアカデミー賞主演女優賞にもノミネートされたローズ・バーンだ。必死に現状と抗い、なんとかタフに乗り切ろうとするも、孤立無援どころか次々と寄り掛かられ、疲れ果てていく。その様がとても演技とは思えない生々しさで、表現者としての実力を見せつけた。

 2008年に始まったテレビドラマ『ダメージ』で、ローズ・バーンはまだ20代にもかかわらずグレン・クローズとバチバチに対峙する役を堂々と演じのけていた。その際に「魅力的な若手が現れたな」と注目していたのだが、その後はなかなか「これ」といった作品に巡り合えていないように思えていた。それだけに、本作での名演は一ファンとしても一安心といったところだ。

 夫役のキャスティングも冴えている。長期出張から戻り、これで彼女もようやくワンオペ状態から解放される――と思いきや、これを演じるのがクリスチャン・スレーター。若い頃と変わらぬサイコパスな雰囲気を放つその姿を見ると、出てきていきなり彼女の末路が想像できてしまい、一気にどん底に突き落とされる。

『ワンオペレーション』
監督・脚本:メアリー・ブロンスタイン/出演:ローズ・バーン、コナン・オブライエン、エイサップ・ロッキー、ダニエル・マクドナルド/2025年/アメリカ/113分/配給:東京テアトル、シンカ/© 2025 Legs Film Rights LLC. All Rights Reserved./9月18日(金)よりロードショー

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