「PDCAではなくPDMCA」ミスを組み込む思考法

――スポーツ総合誌『Number』の松井一晃元編集長の講義もありました。

岡部:松井さん自身はとことんスポーツをやってきた人ではないけれど、とことんやった人たちをずっと見続けてきた人です。プロアスリートとは何か、アスリートが自分を表現することの大切さを語ってくれました。

 題材に元プロ野球選手の清原和博さんを選んでくれたのも、私はうれしかったですね。村井さんも講義の中でおっしゃっていましたが、業務やプロセスを改善するには、一般的には「PDCA」サイクル=Plan (計画)、Do (実行)、Check (評価)、Act (改善) の4段階を繰り返す手法を用います。しかし、村井さんは「PDMCA」だと。Mはミス(Mistake)です。つまり、失敗を恐れてはいけないということ。

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 ミスを組み込んで回す、常にチャレンジをしていくという考え方は、学生アスリートにとって非常に刺さるメッセージだったと思います。どんどんやって、どんどんミスしていい。清原さんはかつて大きなミスを犯しましたが、松井さんがそれを温かい視点で語ってくれたことは、とても良かったと感じています。

「受け身」だった学生が、自分の言葉を

――授業を通じて、学生の様子に変化は感じられましたか。

岡部:第1回目の講義で私が最初に話したのは、「考えて動く」ということでした。トップアスリートは、陸上なら0.1秒縮めるために、野球なら10メートルでも遠くへ打球を飛ばすために、テーマを持ち、自分で考えながら動いている。ところがなぜか、授業になった途端に全員が受け身になってしまう。

 まさに最初の頃のレポートは、講師の言葉のリピートでした。「この言葉が良かった」「この発言が印象的だった」というように。それが講義を重ねるごとに変わってきた。「今週こういうことをおっしゃっていたので、自分はこういうことを意識してこういうことをやりたい」という、行動変容へとつながる記述が増えてきたんです。

 1ミリでも行動変容が起きれば、そこから先は長い。大学卒業後の長い人生を考えると、大きな道幅を作れた部分に少しだけ寄与できたのかなと思っています。授業って、振り返ったときに思い出さないじゃないですか。でも今回の講座は、卒業しても「あの授業があったな」と思い出してもらえるかもしれない。そう感じています。

岡部氏自身が大学まで陸上競技を続け全国大会出場経験もある