現代におけるスポーツとメディアの関係性
――日本テレビの役員の立場からは、最近のスポーツとメディアの関係性をどう見ていますか。
岡部:テレビメディアとスポーツコンテンツとの相性は、以前より高まっていると思っています。スポーツにはライブだからこその同時性があり、サッカーワールドカップにしてもラグビーにしてもバスケットボールにしても、家族が同じ大画面で一緒に見られます。個性的な配信のドラマを楽しむのとは、少し違う体験がそこにありますし、スマートフォンでYouTubeを見ている人たちにとっても、「テレビでスポーツを見るのは面白い」という再価値化が起きている気がします。
――大学スポーツという文脈でも、改めて感じたことはありますか。
岡部:今回、大学の現場を実際に見られたことは大きかったですね。少子化の流れで大学がスリム化されていく中で、それでいいのか、という問いは常に頭の中にあります。大学スポーツには、箱根駅伝のように全国的な注目を集めるものもあれば、ほかの競技はどうなっているんだというものもある。そこに何かできることがあるはずだと、今も真剣に考えています。
――最後に本書と授業を通じて、もっとも伝えたかったことをお聞かせください。
岡部:日本テレビから巨人軍の広報部に出向していたとき、当時の長嶋茂雄監督の部屋に、社会教育家の後藤静香さんの「本気ですれば大抵なことができる」という詩が飾られていました。本気で競技に向き合ってきた学生アスリートは、その力を持っている。社会に出ても本気で臨めば何でもできる。そのことを、何よりも伝えたいと一年間の講義の間、ずっと考えていました。
競技で培った目標達成力や協調性、潜在能力を、社会でどう使える力に変換するか。その問いに向き合い続けることが、これからの学生アスリートに必要なことだと思っています。学生アスリートに限らず、ぜひ多くの皆さまにその一端を本書『大学で育つアスリートのライフキャリア――“部”活動を「学びファースト」へ』を通じ、広く知っていただければ本当に嬉しく思います。
