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『フラガール』以降、仕事はさらに増えたが、多忙を極めている中でも役作りは入念に行った。『クワイエットルームにようこそ』(07年)で摂食障害の女性を演じた際は、43キロだった体重を半年かけて7キロ減量した。寝不足のほうが演技しやすいと思えば、徹夜して撮影現場に向かった。当時の蒼井は24時間を作品に注ぎ込み、1作品、1作品燃え尽きるように演じていた。
「感情のない涙を流せる自分が怖くなった」
しかし、23歳のときに破綻が訪れる。多忙のあまり、感情が入っていない芝居をしている自分に気づいたのだ。
「あまりにも忙しくて変に器用になっていた自分がいました。ある作品で、相手のセリフを全く聞けていないのに、台本に『涙がこぼれる』というシーンできちんと泣けていたんです。その瞬間、何かがおかしくなっているって思ってしまったんです」(シネマトゥデイ 2014年11月3日)
それまでは「なぜここで泣くんだろう?」「なぜここで笑うんだろう?」と引っ掛かりながら台本を読んでいたのに、そんな時間もなくなっていた。台本をパッと見ればセリフは覚えられる。泣けと言われれば泣くこともできる。しかし、何のために自分が芝居をしているのかわからなくなった。
「お芝居とはいえ、感情のない涙を流せる自分が怖くなった。人間じゃなくなる気がして……」(『蒼井優 8740 DIARY 2011-2014』)
「元々やりたくて入ったわけではないので、そろそろ足を洗わなくちゃって」と女優引退を考えた蒼井は、事務所に意志を伝えて休業に入った。休業期間中はひたすら気持ちが落ち着くのを待ったという。
