年齢を重ねていくと、本人にもまわりにも、ただの「無気力」にしか見えない様子を隠しきれなくなる人がいる。
感情の老化は、外からは見えにくい。体重や血液検査の数値のように、はっきり見えるものではない。
だから本人も気づかないまま、少しずつそういう方向に寄っていく。
「変えたいのに、動けない」の正体
感情の老化とは、怒りっぽくなることだけではない。
本当に怖いのは、面白がれなくなることだ。
何かを見て「面白そう」と思えない。知らない世界に入ってみようと思えない。自分とは違う人の話を聞こうと思えない。若い人の感覚に、一度乗ってみようと思えない。
これは、ただの性格の問題ではない。脳の使い方とも関係している。
ハーフタイムシフトは、人生の予定を組み直すだけでは終わらない。
予定を変えても、住む場所を変えても、仕事の量を変えても、自分の脳と感情が動かなければ、結局は慣れた場所に戻ってしまうからだ。
面倒くさい。失敗したくない。今のままで困っていない。もう十分だ。
そう感じること自体は自然だ。年齢を重ねれば、経験も増える。失敗もしてきた。無駄なことも見てきた。だから、何でもかんでも新しくすればいいという話ではない。
でも、その感覚が強くなりすぎると、人生は少しずつ閉じていく。
後半戦の戦い方を変えるには、外側の環境だけでなく、それを動かす自分の脳と感情も使える状態にしておく必要があるのだ。
ここを見落とすと、「変えたい」と思っているのに、なぜか動けない、ということが起きる。
新しい一歩が重くなる理由
前頭葉、特に前頭前野は、計画する、切り替える、抑制する、複数の選択肢を比較する、未来の報酬を見積もる、といった働きに関わっていると言われている。
言ってみれば、前頭葉は人生の編集長のようなものだ。
何を残すか。何をやめるか。何を変えるか。どこに新しい負荷をかけるか。どの人間関係を深め、どの予定を手放すか。
そういう判断に関わっている。