「不気味の谷」で行き詰まったポルノAIの主戦場は、今リアルタイムの「ライブチャット」へと拡大している。容姿の自動補正や身バレ防止技術に億単位の金が動き、肥大化する闇ビジネス。ユーザーの嗜好に合わせて過度にフィクション化していく「性コンテンツの最前線」と、エンジニアたちの本音に迫る。

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AI動画の“不気味の谷”という課題

 本連載では、世界のアダルトコンテンツ組み込まれる様々なAI技術の形と問題について考えてきた。

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 現代のアダルトコンテンツをAIによって支えているのは、AIエンジニアたちだ。彼らは今の潮流をどう捉え、どこにビジネスの勝機を見出しているのか。

 連載の第2回では、日本のアダルトメーカーと組んでAI作品を開発した清水健を紹介した。彼は次のように話す。

「私は日本や中国でAI関連事業を手掛けながら、日本のAVメーカーの作品開発に携わってきました。最初はどこもAIで100%生成した作品を作ろうとしていましたが、今のところ厳しいです。

 AI技術だけの問題ではなく、ユーザーの求めるものとの不一致が大きい。そもそも膨大な数の実写動画があるのに、あえて作り物であるAI作品を求めるのかということです。

 また、アニメと違って、AIの場合は実写に似せれば似せるほど“不気味の谷”の課題にぶつかる。あまりに似すぎると、ユーザーはどこかで気味悪く感じて嫌厭してしまうのです。今の限界はここにあります」

 清水の会社の中核事業は、中国で大人気を博しているAIドラマの制作だ。俳優から背景まですべてがAIによって生成された作品だ。

 AIドラマの視聴者は、アクション、なぞ解き、どんでん返しなどに心を揺さぶられ、エンターテインメントとして受け入れる。

 AIによるアダルトコンテンツがそれと決定的に違うのは、視聴者が感情移入できる艶めかしい身体行為だけを求めている点だ。そこに少しでも作り物っぽさがあり感情を揺さぶられなければ、視聴者はポルノと見なさない。つまり、アダルトコンテンツとしては失格ということだ。

いま最もホットなライブチャット市場

 清水はつづける。

「エンジニアたちの間では、AIはアダルトビデオ制作のためというより、別のジャンルに使うものという認識が広まっています。その一つがライブチャットです。

 大手の動画配信プラットフォームにはライブチャットのサービスが大抵ついていますし、ライブチャット専用のサイトも多数あります。日本だけでなく、世界各国で同様のサービスは人気があり、アフリカの人がアメリカ人配信者のチャットにアクセスしたり、アラブ人がフィリピン人配信者のチャットにアクセスしたりしている。

 今、特に熱いのは中東市場です。表向きはイスラム教の厳しい戒律があって禁止されているけど、需要が高くて資金力があるから巨大な闇市場となっている。

 こうした流れを受けて、エンジニアたちの中では、ライブチャットの世界で誰がAI開発を担うかがホットな話題になっています。ソフト開発によって日本円で何千万、何億円という値がつくこともあるようです」