「配偶者入れ替え連続殺人事件」という、文字だけでも恐ろしい惨劇。それを題材にした舞台劇の現場で、ひとりの男の執着と狂気がすべてを侵食し、破壊していく――。

 鴻池留衣による衝撃の小説を実写化した映画『本当にあった話(の話)』の完成披露・舞台挨拶が9月9日、テアトル新宿にて開催された。

 会場に登壇したのは、主演の水上恒司をはじめ、共演の黒木華、小池栄子、佐々木蔵之介、そして本作で商業映画デビューを果たす新鋭・武井佑吏監督。一筋縄ではいかない豪華キャスト陣が語ったのは、本作が持つ「異常な熱量」と「恐ろしくも笑ってしまうカオスな魅力」だった。

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姿が見えない…? 冒頭の「茶番」から始まった異色すぎる舞台挨拶

 イベントは冒頭から異様な空気でスタートした。司会から「本日登壇予定だった水上さんは?」と振られたキャスト陣は、「来てないんじゃない?」(小池)、「機嫌悪かったんちゃう?」(佐々木)と素知らぬ顔。

 

 実は、水上はステージ背後の特大ポスタービジュアルの中に“画像として”紛れ込んでいたのだ。あまりに自然に馴染んでいたため気づかない観客も多かったが、ツッコミを受けて水上本人が「茶番ですね」と笑顔で登場。

 

「『どんな映画なのですか』とよく聞かれます。説明がしにくいのですが、とにかく面白い作品だと思います」と語る水上。この“説明のしにくさ”こそが、本作最大の魅力であり恐ろしさでもある。

「狂った人間しか出てこない」――キャスト陣が口を揃える“危険なコメディ”の正体

 本作の原作となる鴻池留衣の同名小説は、「配偶者入れ替え連続殺人事件」という惨劇をモチーフにした舞台制作の裏側を描く。虚構と現実の境界線が崩れ去っていく物語だが、キャスト陣の口から出たのは意外にも「コメディ」という言葉だった。

「脚本を読んだときから不思議な映画だと感じていました」と語る黒木に対し、小池は「ホラーではなく一種のコメディです。4人それぞれが一生懸命に生きているのですが、ある瞬間からそれがとても滑稽に見えてくる。武井ワールドにどっぷり浸かって『私たちは何を見せられたのだろう』と感じてほしい」と語り、人間の狂気と滑稽さの紙一重さをアピールした。

 さらに佐々木は「狂った人間しか出てきませんが、どうか笑ってください」と笑顔で言い切り、武井監督も「少し変わった映画ですので、『楽しんでください』と言うのも奇妙ですが」と謙虚に呼びかけ、会場の笑いを誘った。