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松永は「対立は終わったんですよね」と
事故から2060日目の12月8日。松永と飯塚の長男は、真菜さんや莉子ちゃんが眠る松永家の墓、続いて飯塚幸三の墓をお参りした。松永は「対立は終わったんですよね」と言った。
「誰もが、真菜と莉子にも飯塚さんにも双方の家族にもなり得る。僕は全員の無念を決して無駄にしない」
そして長男が言う。
「松永さんのおっしゃったことが、残された人ができる大切なことだと思うんですよね」
事故後、松永は妻子を失った絶望から自死を考えたことがある。飯塚の長男は針の筵に座っている気分で、睡眠薬を一時期服用していた。そんな2人を支えた人たちの存在や、飯塚の実像など、私は取材で得た真相を『池袋高齢者暴走事故 遺族と加害者家族の2060日』に詳しく綴った。
不条理に抗い、かけがえのない日常をどう生きるか。松永や飯塚の長男の生き様はそう問いかけている。
(文中一部敬称略)
(もりたあきら/1982年生まれ。山口県出身。2007年、早稲田大学法学部卒業後、TBSテレビ入社。報道カメラマンとして中国・北京支局、記者として警視庁担当、警察庁担当、警視庁キャップを経て、「報道特集」ディレクター。現在は北京支局長。)