「オフィスにリュック」は、すっかり市民権を得ており、営業職の外まわりでも、リュックを使うのは当たり前である。
以前のように重いビジネスバッグに資料を入れて歩くのではなく、客先でも、リュックからパソコンを出して、ペーパーレスでの営業活動が行われている。そんな日常だから、前述の男性が何の疑いもなく、ホテルのお見合いに、スーツにリュックという装いで出かけたのであろう。
だが彼女は、この選択を、一生を共にする相手の価値観として受け入れることができなかったのだ。
最後まで野球帽を脱がなかった男性
29歳、大卒の医療事務の女性がある日お見合いした、1歳年上の男性がいた。
「お見合いにキャップを被っていらっしゃいました」
プロフィール写真はスーツ姿だったのに、お見合いの待ち合わせ場所に現れたお相手の男性の姿に言葉を失った。まるで近所の公園に散歩に行くようなカジュアルな服装に、野球帽だったからである。
野球帽を被って、ホテルのラウンジのお見合いに来たその男性は、最初の挨拶から、お開きになるまで、一度もそのキャップを脱ぐことがなかったのだという。
プロの野球選手も、プロゴルファーもキャップを被っているが、挨拶やナイスプレーへのお礼をするときは、キャップを外すか、少なくともキャップのつばに手を添えるなどする。帽子を脱ぐという行為には、礼儀や敬意を表すという意味があるからである。
また、ファッションの一部として使う帽子以外は、基本的には屋外で被るもので、室内に入れば脱ぐのがマナーです。
お見合いの場、しかもホテルのラウンジで、キャップを被り、斜め掛けのボディバッグに、ジーパンにTシャツという装いのお相手。結婚披露宴にお呼ばれされても行けるくらいおしゃれをしてきた彼女とは、あまりに不釣り合いな二人だった。お見合いがうまくいくはずもなく、ご縁はつながらなかった。
ハンカチと傘で「結婚生活」まで見える
結婚相談所では、出会いから最長でも半年間という期間の中で、結婚するかしないかを交際しながら判断していく。