今回の知事選をめぐるXの投稿を複数のメディアが分析している。
本土発のデマやヘイトが大きな問題に
そこから目につくのは、沖縄県外からの発信の多さだ。発信地域では東京が沖縄を上回ったとの分析もあった。県外の人が沖縄県知事選について語ることが悪いわけではない。私自身、沖縄の選挙を知ったようで知らない、だからこそ現場からはどう見えるのかと思って通い始めた。
問題はその関わり方である。SNSでは候補者への攻撃やデマ、真偽不明の情報も県外から流れ込んでいた。4年前の知事選でも、本土発のデマやヘイトが大きな問題になっていた。今回はさらに強まったように見えた。
今回、琉球新報が検証した例が象徴的だった。3月に辺野古沖で高校生らが亡くなった転覆事故をめぐり、SNSでは「県の予算で実施していた」「沖縄県庁は責任を取れ」といった情報が広がった。しかし同校の第三者委員会などの調査から、琉球新報は「乗船に県関与」は誤情報だと報じた(9月11日)。
「地元紙は事故を報じない」といった言説も当初からあった。しかし琉球新報は6月、死亡した船長について、過去の性暴力を訴える女性の証言を独自に報じている。
最近は全国紙も選挙をめぐるファクトチェックに力を入れているが、地元紙の記者に聞くと、沖縄では少なくとも2018年から続けてきたという。それでも誤情報はなくならない。ファクトチェックの記事を読まない人たちに、どう事実を届けるのか。新たな課題も突きつけられている。
琉球新報の記事で広島修道大学の野村浩也教授は、県外から沖縄の自治や主張を攻撃する投稿が相次いでいるとして、こう警告していた(9月8日)。
「沖縄にいて普通に発言しても日本人から攻撃されるのは、戦後、最も激しい沖縄差別が起きているということだ」
ここで一つの構図が見える。選挙には中央政界から大きな力が働き、SNSでは県外からデマや誹謗中傷まで流れ込む。一方で、県民の健康にかかわる重要な情報は知らされなかった。
外からは強く働きかけるのに、沖縄の声にはどこまで耳を傾けているのだろう。沖縄は日本の安全保障にとって重要だと繰り返し言われる。でも「沖縄が重要だ」ということと、「沖縄で暮らす人たちを大切にする」ということは、本当に同じになっているだろうか。
古謝新知事が、たとえばPFASの問題で国に何を言うのか。政府との「連携」を掲げるからこそ、言うべきときに国に言えるのか。私はまず、そこに注目したい。