蓄財の達人の本多静六博士は「四分の一天引き法」という考え方を実践して、巨万の富を築きました。
収入の4分の1を先に取り分け、残りで暮らすという方法です。もちろん、最初から4分の1は難しいかもしれません。ですが、1割でもいいので、先に取り分ける習慣を持つこと、しくみをつくることが大切です。なるべく若いうちからこのようなしくみをつくっておくと時間が味方となって、こつこつと老後資金をつくることができます。
一度上げた生活水準は簡単に戻せない
年収が上がると、人は自然と生活レベルも上げてしまいます。広い家に住む、外食をする、便利なサービスを契約する、旅行の回数が増える、などなど……。そして人は一度上げた生活レベルはなかなか下げることができません。実はこれは有名な2つの法則として発表されています。
まず、1つ目は「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する」というパーキンソンの法則です。人間は、手元にお金や時間などの枠があると、無意識にそれをすべて使い切ろうとしてしまいます。収入が増えた分だけ、なんとなく贅沢をして口座を空にしてしまうのはこのためです。
そしてさらに厄介なのが、「一度上げた生活レベルは、簡単には下げられない」というラチェットの法則が働くことです。ラチェットとは「一方向にしか回らない歯車(爪車)」のことです。収入が増えたときに生活レベルを上げるのは簡単ですが、いざ収入が減ったときに元の質素な生活に戻すのは難しいというのは、もはや法則なのですね。
現役時代に月40万円使う暮らしが当たり前になっていた人が、年金生活に入って急に月25万円に落とすのは簡単ではありません。パーキンソンの法則で限界まで支出を広げ、ラチェット効果で元に戻せなくなる、これが老後破産の原因になります。
年金だけで暮らせる人は、現役時代からこの2つの法則を打破するしくみを意図的に作っています。収入が増えても生活レベルをあげません。そして先取り貯蓄によってなかったことにしています。