大きなしゃもじを手に6000軒以上の家庭を訪問し、お茶の間を楽しませてきた落語家・タレントのヨネスケさん(78)。『突撃!隣の晩ごはん』(日本テレビ系)で30年以上にわたり人気を集め、国民的タレントとして親しまれてきた。

「アポなしロケの顔」として脚光を浴びた存在だが、その裏には知られざる数々のハプニングがあった。田園調布での36軒連続拒否、ヤクザの組長宅への突撃、さらに命がけの海外ロケ――。破天荒な名物番組はいかにして生まれたのか。ヨネスケさんに話を聞いた。(全3回の1回目/2回目に続く)

ヨネスケさん ©松本輝一/文藝春秋

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「奥さんが玄関で三つ指ついて…」第1回目は新宿の都営住宅に突撃

――1985年に始まって大人気になった『突撃!隣の晩ごはん』ですが、どういう経緯でスタートしたのですか。

ヨネスケさん(以下、ヨネスケ) あれは、最初から「ヨネスケさんで」というのではなく、オーディションだったんですよ。何人かの芸人さんや落語家が受けて、最終的に俺になったんです。それで1回目、特に打ち合わせもなく、新宿の都営住宅に行くことになって。

 でも、一番最初でディレクターが心配になったんでしょうね。1軒目は、事前に連絡したそうなんですよ。80代の老夫婦のところで、「隣の晩ごはんです」って突撃して入っていったら、奥さんが玄関で三つ指ついて「いらっしゃいませ」って待っていたんです。

 中に入って、「さぁ晩ごはんです」って食卓を見ると、うなぎや天ぷら、寿司が並んでいる。80歳過ぎた老夫婦がそんなもん全部食うわけがない。しかもご主人はネクタイを締めて茶の間で待っていた(笑)。

 これは、どうみたってやらせだってことで、そこはボツにしたんです。たまたま都営住宅だったんで他に行けたんだけど、そこからはもう本当の突撃でしたね。

戸塚にある自宅兼仕事場に伺った

――拒否されることはなかったんですか。

ヨネスケ トータルで6000軒以上、回ったけど、田園調布では36軒全部断られました。インターホンにカメラついているんで、そこで大きなしゃもじを持っていたら入れてくれるわけがない。

 どうしようって考えていたらディレクターが「長嶋(茂雄)さんのところに行こう」って。それだけは勘弁してくれ、長嶋さんは、俺の憧れの人なんだって土下座して断りました。