「先生、診断結果、保留ということでは?」と、妻。
「いや、保留ではないんです」
めんどくさいことになって申し訳なかったです。結局、「100点満点ではないが90点以上」という表現に落ちつきました。
「寛解」ではなく「完全寛解」?
病院を出たところで、
「いろいろごめんね」
と、謝ると、
「まあ、ドラマチックになったと思えばいいんじゃない」
ニコッと笑って返した妻。さすがだなと感心しました。
その2週間後――。
PET画像の細かい解析結果が出たというので、病院へ。
もちろん、ブログにもインスタグラムにも何も予告は書きませんでした。
前回の自信はどこへやらです。
先生は画像をみながら、先日指摘した怪しげな影は、さらに詳しく調べた結果、がん由来のものではないと評価できるとし、
「完全寛解です」
「完全寛解? 寛解でなくて完全寛解というのがあるんですか」
「はい、データから見て笠井さんの体にがん細胞はありません。これを医学用語では完全寛解と言います」
「やったーーーーーーーーっ! 先生ありがとうございます」
もうなんと表現すればいいかわからないくらいの感情の発露がありました。
立ち上がってその場にいるみんなとハイタッチして大声で叫びたいぐらいでした。
信じていたけど信じられない。ようやくたどり着いたのです。
ただ、こういう時、いつも家族から「うるさい」と怒られるので、かなり控えめに喜びました。
妻と長男のリアクションは薄かったけれど
私の後ろで話を聞いていた妻と長男が泣いていると思って振り返りました。が、2人とも普通。ちょっと拍子抜けでしたが、長男は黙って笑顔。妻は、
「絶対に大丈夫と思ってたから」
と、軽やかに返すのでした。
「ステージ4」から「完全寛解」へ。奇跡とも思える道をたどって私は復活しました。
いまの医療がどれほど進んでいるのか、身をもって知ることになりました。治療に当たってくださった先生方になんとお礼を言えばいいか。
抗がん剤治療中は、すべてが嫌になる瞬間もありましたが、あきらめなくて本当に、本当に良かった。
帰りの車の中で自宅に電話を入れました。高校生の三男でした。
「どうだったの?」
「完全寛解だって、父さんの体から全部がんが消えたんだって」
「ほんとに!? ほんとに! 良かったああ、ほんとに良かったあ!」
「父さんもうれしいよ。これから帰るから」
「うん、ありがとう!」
あんなに興奮して話す三男は久しぶりでした。妻と長男のリアクションが薄かったので、もう三男の反応がうれしくてうれしくて。あんまり、いろいろ言わない子なのですが、心配してくれたんだなと、涙が出そうになりました。
最後に、「ありがとう」と言ってくれたのです。がんから治ってくれてありがとう、と。
今でも思い出すとジンと来てしまいます。
