イギリス社会の分断と排外主義の高まりに斬り込んだ新著『それはどこでも起こり得る』が話題のブレイディみかこ氏と、近年の国会前での大規模なデモの牽引者として知られる、アクティビストのeri氏。初対面の二人が語り合った、SNS時代の新しい連帯の可能性とは?

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ブレイディみかこ氏(左)とeri氏(右) 撮影・鈴木七絵(文藝春秋)

「メンバーの9割は女性」というデモ

ブレイディ 今回eriさんにお声がけさせて頂いたのは、とある女性誌の対談で「シスターフッド」が話題になったんですね。いま欧州では若い女性たちが社会の右傾化に危機感を覚えてどんどん左傾化していて、デモをやったり、アクティブに政治に声を上げるという話をしていたら、対談相手の方が「実は日本でも、いまデモを率いているのは女性なんですよ。eriさんという人がいて…」と教えてくれて。それでぜひお話ししてみたいと思ったんです。

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eri お声がけいただいて、本当に嬉しかったです。いつもラジオなどでお声は聞いていたので、今日はお会いできるのをすごく楽しみにしていました。私たちは2022年頃から「WE WANT OUR FUTURE」という市民グループで活動を始めました。

 というのも、私が市民運動に加わっていく中で、旧来的なデモにはリスペクトを持ちながらも、実際に参加したときにちょっと落ち着かない気持ちになることがあったんですね。これだと、みんなが参加しやすい感じにならないな、と。

 だから、自分たちが何かプロテストをするときは、開かれたものにしたかったんです。「今日の夜、ご飯行こうよ。その前にちょっとデモ寄っていく?」って気軽に友達を誘えるようなデモにしたいと思って。いまメンバーの9割は女性ですが、私たちがコツコツやってきたことがみんなが感じている不安とつながって、今のムーブメントがある気がしています。

ブレイディ 私は、2015年頃に日本に滞在して様々な社会運動を取材したさい、当時盛り上がっていたSEALDsのデモを見に行ったことがあるんです。そこで驚いたのが、後方に続く大人のデモ隊には「6人一列に並んで進んでください」とか、ビシッとコールの練習まで指導する方がいて、まるで軍隊みたいだなという印象を受けたんです。イギリスのデモは、みんなでだらだら歩くという感じで、途中で入ってもいいし抜けてもいいし、アイスクリームを食べながら参加する人だっている。日本のデモって、こんなにも規律正しいんだと、びっくりしました。

ブレイディみかこ氏

eri そうだったんですね! 以前私は、グラスゴーで行われたCOP(国連気候変動枠組条約締約国会議)に参加したとき、ちょうどイギリスの市民運動で有名なエクスティンクション・レベリオンがロンドンでデモをするというので、現地に出向いて参加しました。

 みんなが音楽を聴きながら本当に自由に参加していて、色とりどりの旗が街中にはためいていて、私が日本で参加していたデモとは全然雰囲気が違った。バックヤードでもお手伝いしたのですが、高齢の方から若い方まで一緒に旗を作ったり、倉庫で作業をしたりして、みんなが時間とスキルを持ち寄って楽しんでいる感じがすごく良かったんです。

 その経験が、今の私たちのデモづくりに大きく影響していると思います。