ピン芸人に転向→「弁論」でブレイク

――それからピン芸人・こたけ正義感が生まれたのですね。こたけさんのブレイクスルーって、なんだったと思われますか。

こたけ 3年前にR-1の決勝に行って、そこからちょこちょこテレビに出させてもらうようになったんですけど、まだ全然わからないままやっていましたね。今のスタンダップコメディを始めてからですね。自分の話し方やキャラクター、笑いの取り方に自信がついたのは、ここ2年ぐらいだと思います。

――やはり「弁論」と自信は結びついているんですね。

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こたけ そう思います。

――「弁論」は「誰もやっていないことをやるのがかっこいい」というところからのスタートだったのでしょうか。

こたけ ああ、でもそういう選び方ではなかったですね、「弁論」は。確かに人がやっていないから面白い、という選び方でネタを作ったこともありましたし、賞レースにも一度出て、フリップネタもやりましたし、本質的に面白いと思っているわけではないけれど、ウケるからやっている、という時期。

 でももっと普遍的で本質的に面白いものを作りたいと思って、かつ長くネタをやろうと考えたときに、落語のような究極にシンプルな話芸をやらなければいけないとずっと思っていたんですよ。そうすれば積み重なっていくんで、技術も。作品としてしっかりしたものを作りたい、たまたまそれがスタンダップの形に落とし込めた、という感じですね。

©鈴木七絵/文藝春秋

――あるあるやフリップは分かりやすくてお客さんにもウケると思うんですが、「これじゃない」という感覚があった。

こたけ めちゃくちゃありましたね。フリップとかもちろん面白い方も当然いらっしゃるんですけど、いざ自分がやるとやっている本人が誰でもいいというか、その人自身の面白さが一つも出ていないことが気になって。その面白い部分を自分のところに持ってきたかった。「この人が面白い」という状態にしたかったんです。

――誰かと入れ替えても成立してしまうのではなく、こたけさんじゃないとできない形にしたかったのですね。

こたけ この人がしゃべっていて、この人が面白い、という状態にしたいという欲が出てきました。