――そうして「弁論」に辿り着く。しかもテーマが袴田事件だったり、生活保護の問題だったり、かなり「笑い」とは遠そうな、シリアスなものを選ばれていますよね。

こたけ なかなかそんなことはないんですけど、2024年は4月、7~8月、12月と、1年に3回、単独ライブをやっていたんです。完全に単独ハイですね。1回目、2回目は事件とはまったく関係のない内容だったんですけど、それはそれで自分の中でかなり手応えがあって。そこにたまたま仕事絡みで袴田事件のお話が来たので、その流れで実験的に袴田事件をテーマにしてみようと思ったんですよね。それをゴールと考えていたわけでもなくて、2回面白い単独ができたから、3つ目を年末に、しかも1公演しかやらないという条件で、本当にただの実験としてやりました。だってめちゃくちゃ怒られる可能性もあるし。

――ああ。

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こたけ 普通にウケない可能性ももちろんあって。

――それが一番怖いですね。

こたけ はい。でもやってみたらすごく評判が良かったので、これは難しいけど成功したらこんなに面白いんだとわかって、継続してやろうということになったんです。

――お客さんの反応はどんな感じだったんですか。

こたけ どうだったっけなぁ。でも驚いていたと思います、急に袴田事件の話を始めたときは。それまでの「弁論」では、ただただ楽しい話しかしていなかったので。でも集中して聞いてくれている感じはありましたね。ネタ中に、記憶テストのようなものを挟んでいるんですけど、あれは実際に司法修習のときにやられるんですよ。授業中に係の人が入ってきて、先生とやり取りして出ていってしばらくしてから「さっきの人の顔覚えてますか」って急に聞かれる。そんなのあったなと思って、入れたくなっちゃった。

「笑いさえ挟めば関係がフラットになる」

©鈴木七絵/文藝春秋

――こたけさんは、弁護士と芸人の共通点って、どんなところにあると思いますか。

こたけ 自分の名前で仕事をするというところは共通していますね。失敗も成功も、自分の名前についてくる。あとは、一生懸命準備をして、本番で発表するという作業も一緒かな。

 あとは……社会的立場がどうであっても、それがフラットになるという点も似ているかもしれません。法律の世界では、どんなに偉い人でも悪いことをすれば裁かれるし、社会的地位がなくても法律で守られる部分がある。

――法の下の平等ですね。

こたけ それは笑いも似ていて、たとえば僕がどこかの官僚や総理大臣と舞台に立っても、笑いを介していじることはあるだろうし、笑いさえ挟めば関係がフラットになる感覚があります。大御所俳優をいじっても、それが面白ければ許されるんですよ。

次の記事に続く 「年収はずっと妻のほうが上でも…」東大卒弁護士のエリート妻はアメリカ勤務で“別居婚”の時期も…こたけ正義感(40)の“メロい生き方”